一時休止していたクモガタガガンボの飼育を久々に開始することにした。
飼育目的は、成虫から卵を得て、幼虫、蛹、成虫と一連の過程を観察する事。
クモガタガガンボの生態解明調査は始めて以来数年間、中途半端状態が続いており、半ばやる気を失いつつあった。
毎年、いろいろ試し過ぎたり、飼育の詰めが甘かったりと、途中で失敗している。
まさに「角を矯めて牛を殺す」状態・・・
なので、今回は余計な事はしないようにしないように・・・
そろそろ結果を出さなければ。
※ 今回の記事にはウジムシ状の幼虫画像が満載なので、苦手な人は要注意であります。
<14年型クモガタガガンボ産卵用飼育容器>(通称:弁当箱 改Ⅱ)
過去の飼育経験からシンプルかつ効率的な内容。
産卵床として厳選した(?)「自家製腐葉土」・「落ち葉」・「湿らせたティッシュペーパー」を質素に盛り付けました。
この「自家製腐葉土」は、拾ってきた落ち葉を細かく砕き、水分を十分に加え、1年間じっくりと分解させたもの。
床材は産卵床にもなる「湿らせた厚手のキッチンペーパー」で、腐葉土の旨味(?)を吸収することで孵化した幼虫を飼育できる作りとなっております。
乾燥から守るために、上蓋としてラップで密封。
「要冷蔵」
主に産卵した場所は予想通り腐葉土内(白色矢印は卵)
クモガタガガンボを産卵させることは難しくはない。
彼女らの機嫌が良ければ、産卵シーンだって十分に観察や撮影もできるレベルでサービスしてくれるのが嬉しいところ。
<孵化間もない幼虫>
昨年12月中旬から次々と孵化し始めた。
体長は約1.5mm 蛆虫状で頭部は黒い。
見た目のイメージに反して活発に動き回る。
産卵した卵は冷蔵庫(約8~10℃)で保管し、25日程度の卵期。
自然下と同条件で0℃付近のクーリングを一定期間しなくても孵化はする。
もちろん自然下では卵で厳冬期を越えなくてはならないので、卵期は3~5ヶ月だろう。
(成虫はある程度の耐寒能力があるが、幼虫は氷点下近くなると寒さを避けるように動き回り、氷点下になると凍結して死ぬ)
写真の幼虫は、体内に食べた内容物が確認できるので、しっかりと腐葉土を食べているようだ。
<5mmほどに成長した幼虫群>
ただ、最も彼らが好むものは、腐葉土の養分が染み込み、更に微生物により分解され泥状になったキッチンペーパーで、そのような場所に幼虫は集まり、潜り込む。
キッチンペーパーは分解されてはいるが、アンモニアや生ゴミのような腐敗臭は一切しない。
経験上、腐敗臭が発生したり、カビが発生する環境では、幼虫は死滅してしまうので、ウジムシの割には環境に気を遣う。
実は腐葉土のみだと幼虫が順調に成長するとは言えず、この床材として使用している厚手のキッチンペーパーを適度に分解させることが幼虫飼育の鍵だと言っても過言ではない。
(泥状ということで、水に溶いたトイレットペーパーと腐葉土を混合したものの使用を試みたが、分解不十分だったのか失敗した。これはもう少し改良の余地ありだが、今回は深入りしない。)
※ 写真のキッチンペーパーは分解途中でまだ原型を保って綺麗な状態だが、もっと変色し半ペースト状になったものを好む。
幼虫の生育状況、腐敗状況や乾燥状況を毎日確認。
幼虫数が多いので、飼育容器を2つに分けることにした。
あとは蛹になるまで気長に待ちます。
ちなみに待つことは嫌いです。
幼虫をここまでのサイズに育てることは、過去の飼育でも成功しているので比較的容易。
問題はここから。蛹化に至るまでが一筋縄にはいかない。
②に続く
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KGG最終章①(目的と幼虫飼育経過)
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