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Channel: 探索・採集・飼育みたいな雑記的記録
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珍虫の中の珍虫in札幌

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今回は札幌に生息する珍虫「ムイネチビゴミムシ」を探してみた。
札幌市のある限られた地域のみ生息(※1)している地中性ゴミムシで、北海道RDBで希少種に指定されている。
生息数・生息環境から、おそらく札幌で確認できる昆虫の中でトップクラスの珍度を誇るだろう。
採集すると1個体あたり「はぐれメ○ル」級の経験値が入るとか・・・?

この採集困難な珍虫を数年前から晩秋に1回、「探索納め」として、毎回1つの沢に絞り、遡上しながら探しているが、見事に撃沈し続けている。
生息していそうな環境さえ見つけられない手強い地域で、まともに掘れていないのが現状。
毎回全く手応えがない探索だったので、肉体的にも精神的にも疲労が半端ない。

今シーズンは珍しく2回目の挑戦で、1回目の沢は源流部まで遡上したが、生息環境をほとんど見つけることができず。(想定内)
なので、今回も半分期待せずに挑戦。
本種を追うのはもう疲れたと感じていたので、今回ダメだったら今後は諦めるつもり。

※1 生息地は他町村との境界線に近いので、札幌市のみ生息とは断定できない。


数年前、初冬に挑戦した沢。
前回、雪が深くて念入りに探せなかったので再探索。
この沢、春は増水、夏はイタドリやイラクサなどが生い茂り、立ち入ることが極めて困難。
大きな岩も遡上を阻む。


晩秋になると、水量は減り、草も枯れて、遡上が楽になる。
蚊やブヨもいない。肉体労働系探索なので多少寒い方が丁度いい。
樹上の葉も落ちるので、林床は明るくなり、見通しも良くなるため、ヒグマとのバッタリ遭遇確率も減少。
なので、この時期(晩秋~初冬)はガロアムシやメクラチビゴミムシなどの掘削系探索に最適といえる。
(まぁ、この時期ヒグマは冬眠前なので活発だけど)

しばらく遡上し、掘れそうな斜面を見つけたので、とりあえず礫層の状態を確認するために試し掘り。
昨晩から霧雨が降っていたため、普段の礫層内の乾湿具合が分からなかったが、湿った環境を好むコムシが複数出てきたので、常に湿度がありそう。
礫や岩盤の質は硬いが、適度に亀裂があり、それほど苦労せず掘ることができた。
礫層内は粘土が少々混じる程度で、メクラチビゴミムシが生息する環境に近いようだ。


ヨツアナミズギワゴミムシ Bembidion tetraporum
河原の石下などで見られ、地下浅層の表層付近でもよく見られる。
ここでも個体数は多かった。
体色は黒色で、深い場所にはいないが、体長から目的のゴミムシと似ているので紛らわしい。


40~50cmほど掘り進むと伏流水が僅かに染み出る岩盤にぶつかった。
ここまで掘るとヨツアナミズギワゴミムシやモリヒラタゴミムシの一種は出てこなくなる。
慎重に礫を崩しながら確認していくと、赤褐色の小型ゴミムシがひょこっと現れた。
もしや!と思ったが、周囲が暗くてよく分からない。
ヨツアナミズギワゴミムシのテネラル(羽化直後個体)だったら笑えないので、とりあえず持ち帰って確認することにした。


ムイネチビゴミムシ Epaphiopsis (Epaphiama) brevis rectilobata
明らかにヨツアナミズギワゴミムシとは異なった。
資料から数年間追い求めていたムイネチビゴミムシと同定。


体長は約4mm
体色はメクラチビゴミムシと同様、赤褐色。
複眼は小さく、完全に退化していない。

今回、同ポイントで4個体採集。思っていたより個体密度が高かったので驚いた。
まだ出てくる可能性は十分にあったが、これから天気が荒れる予報らしいので、打ち止めとした。
久し振りに満足いく成果となり、勉強となった。
もし次があるなら、確実に掘り出せそうだ。


おまけ↓

ドウナンヒラタクチキウマ(成虫♀)
礫層を掘った際に出てきた。
おそらく越冬のために潜り込んだのだろう。


産卵器下片の鋸歯数は通常4つ
同定の目安のひとつ。

北海道は今日から冬・・・っぽくなります。


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