北海道産のセンチコガネは後翅はあるが、飛ぶための筋肉が退化していて、飛翔することができないらしい。
しかし、たまに翅を広げて飛ぼうとしている個体をしばしば見かけることがある。
しばらく様子を観察していたが、やはり飛ぶことはなかった。
この個体は側溝内で見つけた。センチコガネは側溝に落ちてしまったら、オサムシ類とは違って壁を上って脱出できず、そこで死んでしまう運命。
飛ぶことさえできれば・・・
退化した筋肉を回復させるためにリハビリした方がいいかもしれない。
リハビリ希望
愛と正義と妄想
砂浜を探索していた時の事。
ジムグリの幼蛇を見つけた。
ジムグリ幼蛇
砂浜の内陸側に溜まった流木・ゴミ下でシマヘビはちょくちょく見かけることはあるが、ジムグリは初めて。
砂浜は森林と接していないが、どこからか迷い込んだのだろうか?
しかもこの幼蛇、砂浜の内陸側ではなく、波打ち際に近い場所を海に向かって移動していた。
このままでは危ない!海水浴にはまだ早いシーズンだ。
その時、幼蛇の尾の辺りに何かいることに気付いた。
エゾアカヤマアリが幼蛇の尾に噛みついて必死にと海へ向かう事を阻止しているではありませんか!
種を越えた愛なのか、それとも正義なのか。
全米が涙する程の感動するシーンである。(妄想中)
ちなみにエゾアカヤマアリはかなり気性の激しいアリで、人間にも容赦なく噛みついてくる。
このアリの巣を見かけたら、速やかに離れるのが吉。
最近、休みに際に無理をし過ぎたのか、体の調子が悪い。
抵抗力が落ちると、まず目が痒くなり、その後体の一部に水膨れのような小さい発疹ができ、最悪、帯状疱疹に移行する毎度のパターン。
温泉に行ってゆっくり休みたいと思う今日この頃。
恐怖心を上回る糞探究心
ヒグマを怖がっていては北海道で探索なんかできない。
出会わないように十分に対策をしているなら、怖がるのは出会ってからでも遅くない。
恐がりながら探索するなんてナンセンス。あとは運の問題。
・・・最近、そういう考え方になってきた。(ある意味危険)
ヒグマの糞
なので、探索中にヒグマの糞を見つけても、探索を中断しようとは思わなくなった。
それどころか、なにか変った糞虫でもいないかと糞を物色する始末。
(もちろん深入りはしないし、新しい足跡があったり、危険を感じたら引き返すようにはしているが)
で、今回はヒグマ糞下からエンマムシモドキとクロマルエンマコガネが見つかった。
新鮮な糞ではなかったので(おそらく1〜2日は経過)、それなりに糞虫がいると思ったが、随分少ない結果に。
ハエすら集まっていなかった。
経験上、エゾシカやエゾタヌキの糞と比べてヒグマ糞は糞虫の集まりが悪いように感じる。
ヒグマ糞はそれほど臭わないからだろうか?
エンマムシモドキ
樹液に集まり、そこで小昆虫を捕食するが、稀に糞にも集まるらしい。
糞を食べるのではなく、そこに群がるハエの幼虫などを狙って集まるのであろう。
この糞では2個体確認。
クロマルエンマコガネ 左:♂ 右:♀
糞虫の中では陳腐種、エゾシカやエゾタヌキの糞でもお馴染み。
この糞では雌雄の2個体確認。
この時期はこんなものだろうか・・・
育つ環境
自宅の向かいにあるボロ物置の屋根にて。
野良猫2匹が曇天なのに日向ぼっこ
この物置は毎年野良猫が出産する産婦人科病院となっており、春になると子ネコが続々出てくる。
このネコたちは大きさから今年生まれた個体ではないが、この物置で生まれた可能性が高く、も〜にゃ(うちの飼い猫)の遠い親戚と思われる。
野良猫は飼い猫と違って顔つきや体型、毛並みなどの雰囲気が違い、全体的に精悍で野性的なイメージだ。
も〜にゃと違って隙がない。同じネコとは思えない。
(も〜にゃはユルすぎる)
ネコも人間も育つ環境が異なれば、性格や風貌も変わるんだな〜ってつくづく思う今日この頃。
天気に負ける
今シーズンもオシマルリオサムシをピットトラップにて狙ってみた。
毎年雄は得られるが、恥ずかしながら雌はボウズ。
つくづく運が悪いのか、雌の割合が低いのかは分からないが、とにかく捕れない。
雌さえ得られれば、オシマルリオサムシに終止符を打ち、速やかに次の目的に移りたい。
場所は前回同様、ヒグマの出る山奥の林道(撮影し忘れ)
カップ数は約90個
期間は6日。予定としてはもう少し長く設置するつもりであったが、設置日翌日から大雨を含む連日雨天となり、誘導液(酢)が薄まることの誘導効果低下と、カップ内の捕獲昆虫が水を吸って早々に腐敗してしまう恐れがあるため、一旦回収し、仕切り直すことにした。
もちろんこういった事情なので、成果は期待できない。
回収日も道中はずっと濃霧や大雨であったため、何度か途中で回収を諦めようと考えたが、現地に近づくにつれ、雨は弱くなり、最終的に回収には支障ない程度に天気は回復していた。
ただ再び降り出してもおかしくないので、速やかに回収。
無風&多湿なため、下車と当時にかなりの蚊が群がってきて歓迎を受ける。
調子に乗って車内にも入り込むので、処刑させて頂いた。
カップに入っていたオシマルリオサムシ
期待はしていなかったが、一応成果あり。
エゾマイマイカブリは程々に入っていたが、他オサムシとゴミムシ類は昨年の半分以下。
やはり天気の影響は大きい。
その代わりと言ってはなんだが、エゾマイマイカブリを上回る数のトガリネズミが入っていた・・・
どうやら雨の日はトガリンが活発に活動するらしい。(写真上のカップにも1匹入っている。)
偶然カップに入るのか、酸臭に誘引されるのか分からないが、カップに入って絶命している姿を見ると、実に申し訳ない気分になる。
このトガリンを放置すると、ゾンビ化して腐敗してモンシデムシ類を誘引して大変な事になってしまうので、早めに回収したのは正解のようだ。
オシマルリオサムシ
入っていたのは2個体という少なさだが、天気を考えると妥当な成果だろう。
左の青い個体は、上翅条線の途切れが甘く、オシマルリっぽくない。体型もややずんぐりしている。
一方、右の緑色個体は、前胸背部の横幅が狭く、ややスレンダーな体型。
見ての通り、残念ながら2個体とも雄。つくづく運が悪い。
一応、仕切り直したので次回こそ雌が入ることを期待する。
・・・が、設置した翌日からも、雨天が数日続くことになった。つくづく運が悪い。
こりゃ今シーズンは期待しない方がいいかも。
次回雌が得られないと、来年も仕掛けなくてはならないのか・・・と思うとウンザリする。
シデムシ讃歌
ピットトラップを仕掛けると、シデムシ類は避けることのできないイレギュラー昆虫となる。
主にヒラタシデムシやオオヒラタシデムシで、カップ内が腐敗するとモンシデムシ類が入る。
個体密度が高いので多数入り、カップ内が非衛生的となる困った存在だが、彼らは被害者で無駄死にもいいところだ。
シデムシが目的のオサムシだったら、もしくはシデムシが入らない方法があったら、どれ程嬉しいことか。こちらとしても無駄な殺生をしなくても済む。
でも陳腐種が多いシデムシの中でもイレギュラーがあって・・・
ヒメクロシデムシ
やや大型のシデムシで、山地に生息する。
野外で一度見かけたことがあるが、トラップに入ったのは初めて。
おそらく個体数は少ないのではないかと思う。かと言って珍種ではない。
このタイプのシデムシは嫌いではなく、むしろ好き。
なぜ好きなのかと問われると、単純にカッコイイからという稚拙な理由。
子供がクワガタやカブトムシを好む理由と同じだが、子供がこのシデムシを好きかどうかは疑問だ。
前蛹パレード
そろそろオオムラサキの蛹が見られるかと思いHKZへ。
今年のオオムラサキの発生状況はどうだろう。
薄暗い林内、エゾエノキの葉上に「むちむちぷりん」な終齢を複数確認できた。
早朝なので、さすがに皆さん休息中。
幼虫は静止中、上半身を上げた特有のポーズをとるが、理由は分からない。
終齢だとこのポーズ、とても辛そうに見える。
エゾエノキには蛹が見つからなかったので、付近の低木を注意深く探していくと・・・
前蛹を発見。
こちらの前蛹は尾の先端が蛹になりかけている。
前蛹は2個体見つけたが、結局蛹は見つからなかった。
あと2〜3日経てば今の終齢が蛹になっていることだろう。
蛹を見るには、ほんの少し早かった。
成虫はあと10日くらい経てば見れるか?
タテハチョウ科の前蛹?
アザミで確認。
種は不明。
タテハチョウ科の前蛹?
シータテハだろうか。
昆虫たちが謳歌するにぎやかな季節は近い。みんな乗り遅れるな!
くつろぎゾウムシ
ある林内で。
これといって発見がない探索だったので、そろそろ引き返そうかと思っていたところ、草薮から感じるユルい空気。
ハナウドゾウムシが葉上でくつろいでいた。
「あ〜疲れた、疲れた」と愚痴を言っているようだったが、単に仕事をサボっているだけかもしれない。
ゾウムシの仕事って?
似非ビーチコーミング
いつか見たいと思っていたゾウムシが浜辺にいる。
今回、そのゾウムシを本格的に探してみることにした。
とある砂浜
環境は良く、ゴミや漂流物はそれほど多くはないが、打ち上げられた海草の塊が点々と散らばる。
人がほとんど通らないので、気持ちよく探索できた。
打ち上げられたアマモの塊。
アマモは海草だが、藻類ではなく種子植物で、熱帯魚水槽に入れるスクリューバネスネリアに見た目は似ている。(アマモの葉はねじれていないが)
このアマモ塊の下に目的のゾウムシは潜む。
アマモ塊をそ〜っと持ち上げて、下を確認。
アリの一種やケシガムシの一種、よく分からない半翅目の一種がわらわらとクモの子を散らすように動き回る。
他には・・・
ハマヒョウタンゴミムシダマシ
砂浜の漂着物下ではお馴染み。
個体数多い。
ホソハマベゴミムシダマシ
これもお馴染み。
ハマヒョウタンゴミムシダマシ程ではないが、これも個体数多い。
これらの虫たちが右往左往と動き回り翻弄されるが、しばらくすると散って数が減るので、それから丹念にアマモ下を探す。
ハマベゾウムシ
今回の目的はコレ。
4mmほどの小さなゾウムシで、幼虫・成虫ともにアマモを食べる。
ゾウムシの仲間なだけあって、動きは緩慢。
後翅は退化して飛ぶことはできない。本種のように後翅が退化しているゾウムシは珍しくない。
各地で生息数が減少中であり、県別RDBでは指定している県はあるものの環境省RDBや北海道RDBでは絶滅危惧種に指定されていない。
こちらは体色の異なるタイプ
アマモ下を確認し終えたら、次はアマモ塊を持ち上げて揺らし、落下物を再確認するとハマベゾウムシが落ちてくる。
ひと塊で2度オイシイ!
1つのアマモ塊に1〜3個体確認できたが、小さいので見逃した個体もありそう。
初めて確認するまで時間が掛かったが、直ぐにコツをつかめ、以後次々と見つけることができた。
アマモ塊はある程度量と厚みがあり、塊内と下が僅かに湿っていることが条件のようだ。
砂の下に潜っている個体もいるらしいが、これを探すのは効率が悪く、時間の無駄。
10個体確認したところで、探索終了。
帰宅して撮影会。
小さ過ぎて肉眼ではこのゾウムシの魅力は伝わらないので、カメラで拡大して細部を観察。
小さいゾウムシながら、実に興味深い造形美。
体は硬そうにみえるが、意外に軟らかい。
おまけ
イルカと思われる打ち上げられた死骸。
頻繁に見られるものではないので、珍虫が潜んでないかとワクワクして探したが、陳腐種ばかりでガッカリ。
忘れていた感覚と興奮
仕事仲間と釣りに行くこととなった。
渓流釣りはともかく、海釣りはかれこれ10年近くしていない。
しかも防波堤での夜釣りは初めて。
暗闇の中、防波堤から外海側を覗き込むと、恥ずかしながら恐怖心で足がすくんでしまった。落ちたら助かる気がしない。
夜の海ってホント怖い。
ブラーにワームを付けての釣りも初挑戦であった。
ルアー釣りはある程度経験があり、ブラーも似たようなもので問題ないと思ったが、長いブランクとルアーとは微妙に違う違和感で、まともに飛ばすのにしばらく時間が掛かってしまった。
一応、マゾイが釣れた。
上が23.5cm 下が26.5cm
刺身で食べるには小さいので、煮付け候補。
別竿でイソメによる餌釣りも行ない、アイナメかカレイを狙ってみたが、外道でお馴染みの大きなウグイばかりという結果となった。
あと巨大ヒトデ(マヒトデ)も・・・これもお約束か。
釣果としてはイマイチではあるが、久々の海釣りということもあり、楽しく充実した時間を過ごすことができた。
そして、忘れていた釣りの楽しさを思い出した。再熱しそうな予感がする。
次は30cm以上を釣り上げたい。
樹海追撃作戦
以前から撮影したいと思っていたあのチョウを探してみた。
時期はやや遅めだが、一気にたたみかけるつもりで。
カラフトタカネキマダラセセリ
山地に生息する北方系のセセリチョウだが、高山蝶ではない。
朝の8時前にもかかわらず、この日は日差しが強く、気温が高かったため、早い時間から活動していた。
この後、更に気温が上がると、活発になって、静止することが稀となり、静止しても翅を広げず、こちらが近づく前に飛んでいくことが多くなった。
もう少し気温が低ければ・・・
よって、まともに撮影できたのは朝8時前のこの写真だけ。
チョウやトンボのような飛び回るタイプは撮影にいつも手こずる。
これで今シーズンのサブミッションを全て終え、一安心。
他にもチョウは多く飛んでおり、オオイチモンジとヒメシジミも見かけた。
ポイントに居座ってじっくりとエゾツマジロも狙おうと思ったが、既に採集済みなこともあり、後から来た蝶屋さんに場所を譲って、エゾガロアムシ探索に変更。
林道脇に流れる川にはマスがうようよ泳いでおり、思わず補虫網から竿に持ち替えて、渓流釣りしてしまいそうになる。
オショロコマかと思うがアメマスかもしれない。
見かけたサイズはどれも25〜30cmほどだが、もっと大型が潜んでいるのは間違いないだろう。
渓相もいいので、釣りをするだけでも楽しめそうだ。(この川、禁漁区だろうか?)
あっ!車に竿を積んであること忘れてた!もう遅いけど。
マイノリティな採集
かなり遅くなってしまったが、今シーズン初のエゾガロアムシ探索を行なった。
いろいろサブ探索に手こずってしまい、本業(ガロアムシ探索)が疎かになるという由々しき事態。
ちょっと反省。
樹海の枯れ沢
この辺りはオオガロアムシに匹敵するくらいの大型傾向。
成虫のサンプルが少ないので、少しでも採集確保したいところ。特に雄。
斜面を掘って、礫層を見つけ出す。
礫間に空隙があり、適度な湿気があれば、半分当たり。
後はガロアムシが出るまでひたすら掘るのみ。
もちろんハズレの場合もあるので、体力消耗前にポイント変更するかどうかの見極めが難しい。
中齢幼虫
5〜6齢サイズであるが、尾毛が両方とも欠損しているので、正確な齢は不明。
この子が今シーズン初のエゾガロアムシとなった。
若齢幼虫
尾毛の節数から3齢と思われる。
結局、幼虫×3を得られただけで、成虫を掘り出すことはできなかった。
この辺りの産地は、地形や地中の層にクセがあって、地滑り、崩落、落石を誘発しやすく、安心して探索できない。
魅力的なポイントも多いが、できれば頻繁に行きたくない。
メクラチビゴミムシの一種
ヒダカメクラチビゴミムシTrechiama borealis borealisの記載産地に近いので近縁か同種であろう。
人によって価値観は様々で、メクラチビゴミムシはわたしにとってガロアムシ探索の外道となる。
この発言で更にマイノリティ度が上昇する。
完全体への過程
先日採集したオオムラサキの前蛹が無事に蛹になった後、残された抜け殻が非常に良い状態だったので、撮影してみた。
う〜ん、なにかに似ているのだが、思い出せない。
やはりどこかで見たような・・・
あっ、ドラゴンボールに登場したセルの抜け殻だ。
懐かしいなぁ
エゾガロアムシ分布域更新
エゾガロアムシの新産地を探すために遠征してきました。
今回の成果については、ここでの詳細を控え、大まかな結果報告で済ませます。
エゾガロアムシは石狩山地・夕張山地・日高山脈が分布域(赤色の部分)であったが、一昨年、わたしの探索で北見山地での生息を確認し、昨年は中頓別町(青い丸印部分)まで確認することで北見山地ほぼ全域に分布することを明らかにできた。
今回の目的は北見山地の西隣にある未だ生息確認例がない天塩山地(緑色の部分)。
以前から場所を変えつつ探してはいるが、V字谷やガレ場、適度な礫層というガロアムシが好む環境がほとんどなく、まともに探せていないのが現状であった。
天塩山地はエゾガロアムシにとって不毛の土地なのか。
天塩山地は夕張山地・石狩山地とは石狩川で隔離、北見山地とは天塩川で隔離されているが、実は北見山地南部と天塩山地南部は僅かながら低山地で接している箇所があるため、エゾガロアムシが生息していないとは考えられなかった。(というか思いたくなかった)
今回探してみた沢
小さなヤマメかオショロコマが泳いでいた。
蚊が多い・・・
沢脇の斜面は高さが1mほどと低く、無いに等しい。
埋まっている礫も丸みを帯びた重たい石ばかり。
それでも斜面の礫間に適度な空隙がある場所もあるので悲観はできない。
以前探索した場所(天塩山地)と比べると遥かにマシなのだから。
笹などの下草と枯れ枝、木の根を除去してから掘る作業に入るが、太い木の根が張って障害となる場所が多く、良い場所があっても掘れる場所はかなり限られた。
掘ると土質は粘土ではなく砂の混じった赤土で、やや乾燥気味ではあるが湿気はあった。
しかし他産地で掘ると良く出てくるコムシやジムカデ、ゴミムシ類は稀。
それでも徹底的に探してやろうという気分でひたすら掘り、1m近く横に掘り進めると、白いモノが礫間から出てきた。
3齢幼虫
天塩山地初確認個体!!
これで天塩山地の分布が証明でき、分布域が拡がった。
この子が出てきたときの嬉しさと興奮は忘れられない。
6齢幼虫
この後、次々と幼虫が出てきて10個体ほど確認できた。
しかし成虫がなかなか出てこない。
できれば成虫のサンプルが欲しいので、残り体力を無視し予定時間を延長して探してみたが、結局成虫は掘り出せなかった。
今回の探索で、未分布地帯であった天塩山地からエゾガロアムシ生息を確認できた。
この成果は大きい(と思う)
成虫のサンプルは、蚊が少なくなった秋に再挑戦する予定。
天塩山地全域に分布しているのか、隣の増毛山地にも分布しているのかは今後の課題となる。
なんにせよ少し肩の荷が下り、一安心。
気が緩んで、病気にならないよう気をつけなければ・・・(ちなみに今、風邪気味)
助っ人探索
先日、HP&ブログ「北のフィールドノート」を運営されている下北自然学巣の大八木さんら2名が来道された。
とある魚類について調査が目的で、わたしも「現地案内」兼「採集助っ人」としてご指名があり同行させて頂いた。
まずはUH2(?)の湿地
現地は霧雨で、探索するにはやや躊躇してしまう天気であったが、水棲生物には影響はないので探索開始。
風が強く、湿地最大の障害となる蚊が全く現れなかったので、心地よく探索できた。
(おかげでトンボもほとんど現れなかったが・・・)
ここは目的のサンプルの個体数が多く、短時間で十分に確保することができた。
やはり3人いると効率がいい。
そういえば、この周辺に分布するヒメマイマイは殻の色がやや赤み(褐色を帯びる)があって、一般的なタイプとやや異なる特徴的なタイプであった。
機会があったら、個体数も多いようだし、じっくり調査してみよう。
場所を移動し、STN(はい?)の湿地
ここは風がなかった・・・ということは、蚊とブヨが襲いかかってくる。
(運よく1ヶ所も刺されなかった)
ここの沼底は泥が深く、網(たも)の目が詰まりやすくて、UH2産地と比較して採集がかなり難航。ヘドロ臭い・・・
それでも個体数は多かったので、泥だらけになりながらも十分にサンプルは確保できた。
水棲昆虫やカエルも多かったけど今回はスルー。
ドブシジミの一種と思われる貝を発見し、大八木さんから説明を受けてからリリースしたが、今思えば撮影しておけばと後悔。
帰路の林道ではカタツムリを探しながら移動。
楽しく充実した探索時間を過ごすことができ、案内役として任務を果たせたので一安心。
いろいろと勉強になりました。
今後の調査結果が楽しみであります。
花とカミキリと探索者は一期一会
探索で遠征に行き、ノリウツギやオオハナウドなど花の群落を見つけると、ついつい面白いカミキリが訪花していないか確認してしまう。
ほとんどは陳腐カミキリばかりで徒労に終わるが、たまに珍が混じることがあるので、宝探し感覚で楽しい。
本命探索の成果が得られなかった場合、「ここまで遠征してただでは帰れない」という事もあり、訪花カミキリ探しを保険としてサブで予定に入れていたりもする。
以下は7月に見つけた初見のカミキリ達
下へ行くほど珍度が上がります。
オオハナカミキリ
幌加内町のオオハナウドに訪花
地味だけど陳腐なアカハナカミキリと比べ、渋さを感じる。
キヌツヤハナカミキリ
上士幌町のツルアジサイに訪花(左:♂ 右:♀)
最初、エゾベニヒラタムシが訪花していると思って、驚いた。
ベニボタルにも似ており、一見カミキリムシには見えない。
ムツボシアオコトラカミキリ
上士幌町のノリウツギに訪花
これは北海道RDBで希少種に指定されている北方系のカミキリ。
大量に訪花している陳腐ハナカミキリの中から、これらを見つけ出す面白さ・・・いや陳腐種がいなければどれだけ探しやすいことか。
ちなみにわたしが言う陳腐種とはアカハナカミキリ・クロハナカミキリ・ツヤケシハナカミキリ・ヨツスジハナカミキリ・ヤツボシハナカミキリ・マルガタハナカミキリ・フタスジハナカミキリ・キスジトラカミキリなど。
花の群落は、数日後には花のピークは終わっており、次に訪れた時は別の群落を探さないといけない事が多い。
ちょっと儚さすら感じるこの探索。
アケボノマイマイ探索
アケボノマイマイ・・・。
Ainohelix io
本種は北海道の東大雪に局地的に分布するカタツムリの一種で、環境省RDBで準絶滅危惧(NT)に指定されている。
この名を知っている人は相当なマイマイ通ではないかと思うくらいマイナー種である。
今回このアケボノマイマイを探しに大雪山山麓へ遠征。
資料の写真を見る限り、同じ属のヒメマイマイとなんら変わりがないと感じたが、実際に採集して相違を確認したかった。
探索前日は雨(大雨)であったので、本来絶好のカタツムリ探索日和。
しかし雨後は普段乾燥している場所も湿ってしまうので、ポイントを絞りづらいのが欠点。
わたしは地表に隠れ潜む個体を探し出すのが得意(?)なので、この天候は相性が悪い傾向にある。
林道脇の日陰で湿った草地
ヒメマイマイのような樹上性でない地表性のカタツムリ探索は、以下のような段階を踏んで探すようにしている。
段階1:まず下草の葉上または裏を観察(見られるのは主に幼貝だが、低い位置では成貝も増える。)
段階2:下草を棒で叩きながら、落ちてくる個体を探す。(比較的大きな個体が得られる)
段階3:落ち葉上や地面を探す。(成貝専用)
段階4:深い草薮をかき分け、地面を探す。(最終手段で、分布確実地帯以外はここまでしない)
段階が上がるにつれ、探しづらくなり、個体数も減り、難易度が増すが、成貝の割合は増える。
最初に見つけたのは、胸の高さ辺りの葉上にいた殻径4mmほどの幼貝(段階1にて)
よく見ると、やすりのような細かい毛が確認でき、タカヒデマイマイの幼貝にとても良く似ていた。
殻に鱗片状の突起(殻毛)があると情報から、アケボノマイマイで間違いないだろう。
ヒメマイマイ同様、高い位置に上らない種類と思われるが、雨の影響で活発になったのかもしれない。
※ちなみに毛のあるヒメマイマイは何ヶ所か産地がある。
これは下草を叩いて落ちてきた殻径10mmほどの無帯の幼貝(段階2にて)
細かな毛もある。
この後、一向に現れなくなったので、地面を念入りに探す「段階3」へ移行したかったが、地面は笹が密生しており、一気に「段階4」へ。
マダニなんか気にしてられない。
やっと出てきた成貝
不自然に転がっていたが、死貝ではない。
成貝
殻径は15mmほど。
殻に辛うじて毛は残っているが、かなり擦れてしまって上部半分近くが白くなっている。
お世辞にも良い状態とは言えない。
採れた成貝は全てこんな感じ・・・完品を得るのは難しい種かもしれない。
成果は5〜6時間探して、成貝×3(死貝1つを含む)、幼貝×3
笹薮が密生し、探しづらい場所とは言え、時間効率が極めて悪い。
実はこの場所以外にも数ヶ所探してみたが、全然見つからなかった。
個体密度が低いのか、分布が極めて局地的なのか、探した場所が悪かったのか・・・
(個人的には探した場所が悪かったと思っているが、何が悪かったのか分からない)
ヒメマイマイ同様、比較的簡単に見つけられると甘く見ていたが、個人のカタツムリ探索史上最も過酷な探索となった。
※ 幼貝を含め、本種の生態写真というものはおそらく皆無。
だとしたら今回の写真は大変貴重。
もっとも、この価値が分かる人はかなり少ないと思われるが、悲しいところ。
ちなみにこの辺りのエゾマイマイの殻は独特の斑紋(正確には軟体の色が透けて見えている)を持つ個体であった。
エゾマイマイもそれほど多く見られなかったので、やっぱり探し方が悪いのかもしれない。
そう思うのはわたしだけ?
なんの花かは忘れたが、とにかく訪花していて、小さく地味ながらも目立っていたこの虫。
ヨツボシセマルケシキスイ(ケシキスイ科)
前胸背部に4つの黒色斑紋があるのが特徴。
本種と同様、体型が扁平で前胸背部に4つの黒色斑紋があるものにヨツボシオオキノコ(オオキノコムシ科)とクロボシヒラタシデムシ(シデムシ科)がいる。
それぞれ体長や生息環境が異なるので真似をしているとは思えないが、結構似ているのではないかと思うのはわたしだけだろうか。
この4つの黒色斑紋、なにかの意味があるのかもしれない。
拡大してみると、黄褐色の毛が密生している。
この「ふさふさ具合」が犬(特にラブラドールなレトリバー)っぽく感じる・・・のはわたしだけだろうか。
蝦夷戸立て蜘蛛
現在、エイリアン的なクモを飼育している。
どのような生態なのか興味のあるクモだ。
エゾトタテグモ Antrodiaetus yesoensis
北海道固有種
体長は10mmほどの原始的なクモ。
生息環境から森林などの地中に巣を作って潜むタイプで、生態はジグモに近いが、やや冷涼で湿度が高い環境を好むのではないかと思われる。
巣の入口には蓋があり、蓋の表面は周囲と同じ苔などで覆うらしい。
探そうと思って見つけ出すのは難しいクモだが、森林に仕掛けたオサムシ狙いのPTや、エゾガロアムシ探索の際、地中から出てくることもある。
PTに落ちた個体は溺死してしまい、生きて得ることは難しいが、写真の個体はガロアムシ採集時に沢脇の礫層中から掘り出したもので、もちろん生きている。
クモというのは頭胸部より腹部が大きい傾向にあるが、本種は逆で明らかに腹部が小さいため、やや違和感を感じる奇怪な体型をしている。
やはり不気味に感じる人が多いだろう。でも個人的には魅力的な体型で愛らしくも感じる。
飼育観察すると、飼育環境の都合上、普段は半袋状の巣を作って、その中に潜み、ほとんど動かない。
クモというのは臆病で過敏な種類が多く、餌付けが難しい。本種も同様。
あまり大きな獲物を与えると、驚いて逃げ回ってしまう。
動きが緩慢なクモに見えるが、実はかなり機敏に走り回ることができるようだ。
この見た目と反する臆病な性格がまた愛らしい。
詳しい資料がないので、本種の雌雄の違いというのが分からないが、写真の個体は触肢の先端に膨らみがないようなので、雌でないかと思われる。
できれば雌雄を得て、産卵させてみたい。
あとは、しっかりとした巣を作れるような飼育環境に改良したい。
謎無翅ハエは新種か?珍種か?
石狩山地(大雪山)の亜高山帯(標高1300〜1400m)での探索。
もう少し標高を上げれば高山帯になる。
本当は高山帯で探索したいところだが、特別保護地区となるので、指をくわえることしかできない。
ダイセツヌレチゴミムシ Minypatrobus darlingtoni
和名に大雪山由来の「ダイセツ」とあるが、北見山地や夕張山地でも個体数は少ないが確認している。
さすがにここは本場であるので、個体数がやたら多く、沢脇の石の下からはかなりの確率で出てくる。
でも、撮影した沢脇は薄暗く、撮影がうまくいかない。
フラッシュを使用するのは好きではないが、使用しても撮影技術が乏しいのでこんな感じになってしまう・・・
キソヤマゾウムシ Byrsopages kiso
高地に生息するゾウムシの一種。体長は9〜10mm
沢脇に落ちていた朽木下で発見。
じめじめした地面にゾウムシとは意外であった。
見たことのない種だったので、一応調べてみようと持ち帰ったのは正解だった。
側面
北海道では陳腐種であるハナウドゾウムシにやや似ているが、上翅の点刻の違いと上翅に毛状の鱗片があるなどの特徴がある。
で、ここからが本題↓
謎の双翅目(ハエ目)
こちらも沢脇の石下から発見。
体長は極小で約1.8mm、体色は全身黒色。
最初、極小なアリバチ(ハチ目)かと思ったが、触覚の特徴が双翅目のそれに似ており、頭部の形状もハエっぽい。
問題は前翅が完全に無翅で、双翅目の特徴である平均棍が確認できない。
(平均棍と思われる部位は確認できるが、正確には小さすぎて不明)
動きはハエらしく忙しなく歩き回るが、捕まえようとすると、飛び跳ねる。
もちろん飛翔はできない。
腹部はやや扁平
こんなハエ見たことも聞いたこともない。
ハエに関する資料は乏しく、調べてもかすりもしなかった。
そもそもこやつは双翅目なのかも疑わしい。新種なのか珍種なのかも不明。
双翅目には前翅が退化したクモガタガガンボもいるが・・・
単に有翅のハエがなんらかの原因で翅を失ったものだったら笑えないので、もう一度この場所で同じ個体を探してみようと思う。
これを探し出すのは困難を極めそうだ。
※ この種に関してなにかご存じの方がおられましたら、ご教授頂けると助かります。