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Channel: 探索・採集・飼育みたいな雑記的記録
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沢登りを一人で珍を得る。

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今回の目的は「ヒダカチビゴミムシ」
日高山脈の高山に生息する珍なるゴミムシで、今シーズンの目標のひとつでもある。
その姿を拝むためには登山が必須。これが私の探索史上最も過酷であろう探索となった。
これを記事にするとさぞかし面白い内容になる事、山の如しなんだが、探索中の写真が一切ない。
カメラを忘れたわけではない。
いろいろあって登山口に辿り着いたときは疲労困憊であったことと、この後、上級者向けといわれる沢登りで山頂を目指したことで、体力的に写真を写す余裕が全くなかった。
今思えば、滅多に見ることのできない生き物の生態や生息環境の記録が残せる機会であったのに後悔している。
それにしてもあの沢登りはホント過酷&無謀だった・・・
(沢登りについては割愛)

とりあえず、雪渓のある場所までひたすら登り、標高1000~1500m辺りで探索した。
雪渓脇の石をはぐると、メクラチビゴミムシの一種(※以降トレキ)がわらわら出てくる。
トレキ環境より日当たりの良い石の下ではルリマルクビゴミムシ(日高山脈亜種)が、ガレ場ではエゾガロアムシが、トレキ同様多数出てくる。夢のような環境だ。
石をはぐっただけでトレキが複数出てくるなんて、なんて素晴らしい!
しかし、ヒダカチビゴミムシであろう個体は出てこない。
トレキよりやや体色が濃く、上翅に丸みのある「怪しい個体」はいくつか出てきたが、この標高にはまだヒダカチビゴミムシは生息していないだろう。おそらくトレキの変異であろう程度に思っていた。


<採集したトレキと怪しい個体>
目視では差が曖昧で明確に区別できなかった。
一応、「怪しい個体」をいくつかキープしつつ標高を上げていったが、結局確信のある個体が出てこず、体力も限界であったため諦めて下山した。

車まで戻るのに更に体力消耗。
その後アラメオオルリオサムシを狙ったPT回収のため長距離移動してからの帰宅。(結果は先日の記事にて)

帰宅し、「怪しい個体」を拡大して確認すると、トレキにはない複眼があった。
ん?おいおい、これがヒダカチビゴミムシかよ・・・
珍種を得て嬉しい自分と区別できなかった情けない自分。
怪しんでキープしておいてよかった。


「怪しい個体」改めヒダカチビゴミムシ Masuzoa notabilis notabilis
体長は約4.5mm 複眼が確認できる。
この産地の個体数は少なくないようで、不本意ながら(?)というか運がいい事に合計6個体得ることができた。
森林限界以上の高山帯に生息すると思っていたが、雪渓があれば1000m付近にも生息しているようだ。
雪渓が消えるといなくなるらしい。


左:メクラチビゴミムシの一種 Trechiama sp.  
右:ヒダカチビゴミムシ Masuzoa notabilis notabilis
見ての通り、2種の体長、形態、体色は酷似している。
ややヒダカチビゴミムシの方が体色が濃く、上翅が丸みを帯びる。
動きはヒダカチビゴミムシの方が機敏に感じた。
この2種が石の下に複数潜んでいて、動き回っていたら、さすがに区別困難だろう。

事前に資料を確認し、ヒダカチビゴミムシの特徴は把握しているつもりだったので、トレキとは簡単に区別がつくものだと過信していた。(当初ヒダカチビゴミムシのイメージとして、もう少し上翅の丸みが強く、膨らみがあるのだろうと思っていた。)
やはり「百聞は一見にしかず」ということか。
もう学習したので、今なら2種の区別は現地でも自信を持ってできる。(かな?)

最後に。
安易な気持ちで単独の沢登りは無謀。
興味のある方は、自己責任かつ遭難する覚悟で挑戦して頂きたい。
わたしは疲れが癒えるまで、しばらくは体に優しい探索をします。


興味度と貴重性は必ずしも比例するものではない

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先日の日高山脈探索では、本命のヒダカチビゴミムシの他にも珍なる者を見つけることができた。
珍と言っても、オオルリオサムシのように綺麗な光沢があったり、ダイコクコガネのように魅力的な角があったりせず、いわゆる地味な部類なので興味の有無に関しては人それぞれ。
虫屋さんでも興味のある人は少ない、そんなキワモノ的昆虫。


アイヌミズギワゴミムシ Bembidion ainu
体長約3mm
小さなゴミムシだが、あの無翅ハエに比べたら・・・
冷涼で多湿な環境にある石の下で発見。
複数見つけたが、多くはなかった。


ヒダカマルガタゴミムシ Amara hidakana
体長6~7.5mm
北海道RDBでは希少種に指定されている。
両方の触角が欠損しており、上から見るとコガネムシに見えてしまうところが残念。
冷涼で多湿な環境にある石の下で発見。
見つけたのはこの個体のみなので、探した環境にズレがあったか?


ヒダカチビゴミムシ Masuzoa notabilis notabilis
前回の記事に登場したヒダカチビゴミムシも北海道RDBで希少種に指定されている。
横から見てもメクラチビゴミムシと変わらない風貌。
いずれ複眼が退化するかもしれないが、そうなるともう外見からでは区別できん。


最近、標本や探索結果のみの報告ばかりで、肝心の探索内容が記されていないことに気付いた。
このブログの趣旨から若干かけ離れているのではないかと思ったり、思わなかったり。
疲れているのかしらん。

移入の成功組

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河原を探索中に足元から何かが飛び出した。
毎度お馴染みのエゾアカガエルかと思ったが・・・


ツチガエル Rana rugosa
20年ほど前にもツチガエルは札幌市内に生息していたが、見つけることは簡単ではなかった。
今では水辺に行けば、比較的簡単に見つけられるほど、個体数が増え、分布域も広がっている。
昔、生息していなかった旭川市でも以前見つけたし・・・
おそらくこれからも増えていくであろう。
国内移入種とされているが、かつてはそれを否定している人もいた。
その人たちは今でもそれを貫いているのだろうか?

ニセコ連峰直属ゴミ

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ニセコに生息する昆虫と言えばニセコチビゴミムシ!・・・と言いたいところだが、美しい透き通る青色のオオルリオサムシと比べればイマイチ認知度が低い。
という訳で、今回の目的はニセコチビゴミムシ。
探索難易度の高い亜種ムイネチビゴミムシ(昨年採集済み)より前に見つけておきたかったのに順番が逆になった。


深い霧に包まれた沢
アクセスは容易。
ヒグマ出没注意地帯だが、それよりもブヨとヤブカとアブが大量に群がってきて、探索に集中できない。


薄暗い沢脇の落ち葉下を念入りに確認する。
太くて硬い笹が密生しているので探索の支障になる事、山の如し。
たまに飛び出した枝が顔に刺さりそうになる。笹だけに・・・(失笑)


ニセコチビゴミムシ Epaphiopsis (Epaphiama) brevis brevis
体長4mmほど。メクラチビゴミムシと酷似するが複眼有り。
冷涼で多湿な環境の落ち葉層下の土面に潜んでいる。
落ち葉を集めて篩(園芸用)で落とすよりも、小スコップで丁寧に落ち葉を取り除いて土面を出してから目視で確認する方が効率よく得られた。
個体数も多く、コツさえ掴めば短時間で10個体以上得ることもできる点が、亜種ムイネチビゴミムシと異なるところ。
なのでムイネチビゴミムシが北海道RDBで希少種に指定されているのに対して、本亜種は指定なし。
ブヨなどの猛襲に我慢することが前提だが、本亜種はチビゴミムシの中でも入門種だろう。

ニセコは冬期、海外からのスキー観光客でたいへん賑わっているが、今後はニセコチビゴミムシ目的で賑わうと言われている。(んなわけない)

3年周期

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2009年7月下旬
帯状疱疹となり高熱で数日寝込む。

3年後の2012年8月上旬
複数のスズメバチに刺され高熱で数日寝込む。

そして3年後、2015年7月
風邪をひき高熱で数日寝込んでしまった。(現在進行形)

実に興味深いことに「3年周期」で高熱を出すことが判明した。
しかも時期はジャコウカミキリが発生する7月中旬~8月初旬。
なぜジャコウカミキリの名が出てくるのかといえば、病にまたはその後にジャコウカミキリがからんでいるので、忘れようにも忘れられない。
探索神の加護が3年周期で低下するのだろうか。
ジャコウカミキリはわたしにとって忌昆虫かもしれない・・・
次は2018年夏
今の時点ではまだ偶然と言えるが、次回同様の事が起きたらコワイね。

ネコのブツより遥かに大きい

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何気に山地の林内に転がっていた朽木をひっくり返してみたら4年ぶりにあのお方と遭遇。


ヤマナメクジ Meghimatium fruhstorferi
本州産は20cm近くのサイズがいるらしいが、北海道で見かける個体は10cmくらいまでしか見たことがない。
写真の個体も10cm未満で、全開で伸びても10cmを越えるかどうか・・・
なのでMeghimatium fruhstorferi と同種なのかも疑わしいところはある。
北海道では道南で見かけるが遭遇率は高くない。
道内どの辺りまで分布しているのか不明で、少なくとも札幌では個人的に見かけたことはない。
ただ、この場所は黒松内低地帯から札幌寄りの場所なので、札幌で見かけても不思議ではないと考えている。


この朽木下からはまとまって3個体出てきた。
複数を同じ場所で見かけることは初めて。
見た感じは、う○こ。中型犬サイズのブツと同じくらいで、ネコのブツより遥かに大きい。
色がもう少し黒ければ、擬態として理想的。(擬態?)

本日はポイント3倍です(ウソ)

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ダイミョウアトキリゴミムシとモモグロダイミョウゴミムシを探しに某側溝へ。
この2種は6年前に撮影済みであるが、前のカメラで撮影したため画質的に納得がいかなかった。
微熱は続いているが、探索リハビリに丁度いい。
「いいから黙って寝てろ!」と言われそうだが、探索は一番の特攻・・・いや特効薬。


某側溝
かつては「トラップいらずのオサムシホイホイ」A級物件であったこの側溝も、今ではすっかり荒れ果て廃墟状態。オサムシが落ちそうな場所はほんの一部残るのみ。
栄枯盛衰・・・
付近の環境次第ではあるが、一部のゴミムシに関してはまだ期待できる側溝ではある。
それが今回目的の2種。


目的のゴミムシが好む側溝内の環境は、日当たりがよく、落ち葉溜まりがあり、その下は湿っておらず、少しの土も堆積していない場所。


いたいた・・・ダイミョウアトキリゴミムシ Cymindis daimio
美麗種とまではいかないが、特徴的な斑紋と青藍色の光沢がある。
上翅にはTSUTAYA的なロゴがあるので、もしかするとTポイントが付くのかもしれない。(はい?)
本州では個体数が少なく、絶滅危惧種に指定されている県もあるが、北海道では比較的多く見られる。
この側溝でも狭い範囲で10個体以上確認できた。
ただ忙しなく歩き回り、撮影させてくれる機会を与えてくれない。
落ち葉の下に隠れたのを確認し、そっと落ち葉をめくっても既にその姿はなしというのもしばしば。
側溝側面も苦も無く上ることができるので、もたもたしていると側溝外に逃げられてしまう。


照明をうまく当てれば、綺麗に光沢が映えてくれる。
美しく撮影できれば更にTポイントが3倍になる(んなわけない)

そういえば今回「モモグロちゃん(モモグロダイミョウアトキリゴミムシ)」が全く出てこなかった。
そもそもこの2種、別種扱いになったり、同種扱いになったり・・・どっちだよ!
学名というのは、生き物につけられた世界共通の名称、いわゆる世界基準。
とても重要で便利なものだが、所詮人間の都合でつけられたもの。
諸事情により後から分類が変更されたり、研究者によって見解が異なったり、流動的なものなので、わたしの様な中途半端な人間はよく振り回される。
学名に関しては深く考えない方がいいんだよ。たぶん。

カタツムリハンドブック

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武田晋一さん(写真)・西浩孝さん(解説)のカタツムリハンドブックが文一総合出版から出版された。


写真は、殻と軟体の特徴が一目で分かる絶妙な角度から撮影されており、どの個体も活き活きとしていて、殻だけ写した無味乾燥で図鑑的な写真とは違い、温かみを感じる。
殻だけの写真もあるが、それでさえ温かみがあり平面的に見えないところが、武田さんのプロの撮影技術とカタツムリに対する熱意の表れなんだろうな~っと感心してしまう。
解説も分かりやすく、採集法や飼育法などもあって、カタツムリ初心者やお子様にもオススメ。ある程度知識のある人でも興味深い情報もあるので満足いく一冊になると思います。
「日本国内にはこんな種類がいるのか」とか「身近なところにもこんなカタツムリがいるんだ」なんて再発見があるかもしれませんよ。
いろんなカタツムリの写真を見ているだけでも癒されます
単なるカタツムリ図鑑ではないのです。

ちなみに北海道産のカタツムリに関しては、わたしも微力ながら協力させて頂いており、武田さんが来道された際、一緒に探索し見つけた個体やわたしが採集して送った個体も掲載されております。

興味のある方は書店へGO!!
ネットならAmazonでも!


赤ヒメ成貝

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6月に見つけた殻が赤みを帯びて毛のあるヒメマイマイ「赤ヒメ」
2ヶ月飼育して成貝となったので、可哀想だが標本とさせていただいた。


これはまだ軟体を抜いていない生体。
採集時より赤みが減退し、褐色がかってしまった。
いや、むしろ黒いと言っていいかもしれない。
軟体も褐色が強くなっていたので、その影響かと思われる。
成長するとそうなるのか、それとも餌の違いによって変化していくのか?


これは軟体を抜いた殻のみ状態。
殻口付近が赤いくらいで、期待していたほど赤くはない。
言われなければ褐色と片付けられそうだ。


殻口付近は確かに赤みがある。
推測だが、殻口付近の新しい殻は最初赤みを帯びており、成長し時間が経過した部分(殻頂側)は色が徐々に濃くなり褐色となるのかもしれない。

比較対照の重要性

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標本を並べてみて、ふと気付いた。


左:ムイネチビゴミムシ Epaphiopsis (Epaphiama) brevis rectilobata
右:ニセコチビゴミムシ Epaphiopsis (Epaphiama) brevis brevis
このタイプのチビゴミムシの亜種関係なので、大きな違いはないだろうと思い、2亜種の比較を怠っていたが、何気に標本箱内を整理していた時にニセコチビゴミムシの方が小型で体色が明るい事に気付いた。
不覚にも違いは明白であった。
もちろん標本を並べて比較したらの話。
やはり比較対照は重要なんだなぁ~って思う今日この頃。

珍客どこからくるの?

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わたしは札幌市の住宅地に住んでいる。
付近に山や森林はない。
木々がある場所と言えば、ちょっとした公園くらい。
夏になると外灯に蛾やコガネムシがわらわら集まってくるが、なんで住宅地に?という珍客もやってくる。


オオクロカミキリ Megasemum quadricostulatum
針葉樹に集まるカミキリムシだが、付近の公園には針葉樹はなかったような・・・。
どこかの庭木に針葉樹があり、そこから発生しているのだろうか???
と言ってもこのカミキリ、外灯下でしか見たことがないけど。

あとコエゾゼミもしばしば見られる。昼に鳴き声は聞いたことがない。
どこかに夜限定で時空を超えるゲートが発生するのだろう。
発見したら時空学会に報告するつもりだ。(ないよ。そんなもの。)

この後は、マイマイガやクスサンが発生する時期になって、徐々に秋となる。
いとさみし。と言いたいところだが、涼しくなってもらわないと本格的にガロアムシ探索ができない。

雲海が見える山で雲紋を見る

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山地で盛夏に発生する陳腐ハナカミキリ類が集まる花をただただ眺めていたら、見慣れぬモノが視界に入った。


ウンモンテントウ Anatis halonis
恥ずかしながら初見のような気がする。
もしかすると見てはいるが脳がスルーしてきたのかもしれない。
少しはテントウムシにも注目しないと。
ウンモンテントウは珍種ではないが、生態がイマイチ分からないらしい。

楽した登山では珍は得られない。

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日高山脈にある亜高山帯の山に登り、探索してみた。
登山口までの林道は長く、やや悪路だが、登山口から頂上までの距離は短いので、体力の消耗を気にすることなく探索できた。
山頂までの登山道付近は笹とハイマツ地帯で、見たことのない多種のハエが無数に飛んでいた。双翅類屋さんだったら泣いて喜ぶであろう環境だろう。
スイーピングしてもハエばかりで、「珍」は皆無。
わざわざ登山した意味が・・・。

途中、大きなダケカンバがいくつかあり、めくれた樹皮の隙間に何かいないか確認するとヒラタクチキウマが隠れていた。
捕まえようとした僅かの隙に飛び跳ねて逃げられること数回。
毎回同じタイミングで逃げられ、心が折れそうになる。
意地になって、なんとかペアの捕獲に成功。(時間掛かった・・・)
これで種を同定できる。
日高山脈なので「ヒダカヒラタクチキウマ」か「ツヤヒラタクチキウマ」のどちらかだろう。

こちらは雄


左:♂15mm 右:♀18mm
雄の前胸背板は広く窪み、その中に逆八の字の溝とその後方に1つの横溝があり、ヒダカヒラタクチキウマの特徴と一致する。


「雄の尾肢」
黒褐色で、先端は尖ってはいない。
ヒダカヒラタクチキウマは長く、黒褐色で先端はあまり尖らない。ツヤヒラタクチキウマは黄褐色で尖る。



「雌の産卵器」
下片の鋸歯数は6
ヒダカヒラタクチキウマは5~6、ツヤヒラタクチキウマは5~7
区別できるためには7しか選択肢がない・・・

いくつかの特徴からこの個体はヒダカヒラタクチキウマ Alpinanoplophilus yasudai で間違いないだろう。
本種は北海道産ヒラタクチキウマの中でも最も珍度が高いと言われているが、今回探索した場所では、樹皮下(大きな樹皮の裂け目の奥)でかなりの確率で見られたので個体数は多いようだ。

里帰りプチ探索

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お盆なので実家(旭川)に里帰り。
渋滞を避けて、早朝4時に高速道路を利用し快適に走行。
早朝とは言え、お盆なので、程々に車は走っていると思ったが、ほとんどいなかった。

途中、放尿のため音江PAに立ち寄った。
駐車場で、何かが足元を横切ったのに気付く。

むむ、アズマヒキガエルの幼体だ・・・。
こんなところにまで堂々と出没するようになったか。
カブトムシやトノサマガエル同様、国内移入成功組。

墓参りの後、1時間ほど時間があったので実家(旭川)近くにある自然公園へ立ち寄ってみた。

大雨警報レベルの雨天が続いた後なので、川は増水。
無風で湿度が高いため、蚊が大量に襲いかかり、公園内の奥まで探索できなかった。


道脇のイラクサにはフクラスズメ Arcte coerula の幼虫がちらほら。
いかにも毒がありそうな色彩と毛があるが無毒。食草のイタクサの方がやっかいだ。


林床で何かが跳ねたので、エゾアカガエルかと思ったが、またしてもアズマヒキガエルだった。
しかも付近で見つけた林床のカエルは全てアズマヒキガエルで、エゾアカガエルは確認できなかった。
数年前にはこの場所にアズマヒキガエルはいなかったのに、いつから入り込んだのだろうか・・・
驚異的かつ侵略的な繁殖力と環境適応力に恐怖を感じるが、その生命力に感心する。
ここまできたらもう駆逐は不可能だろう・・・


ニホンアマガエル Hyla japonica
脚の一部が黄色になっている面白いタイプ。
アマガエルには安定したカワイイさがあり、癒し効果も期待できる。

希望の星

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妖怪ウォッチに夢中で昆虫に興味がなかった甥っ子が最近虫捕りを始めたらしい。
まだまだ初心者で、近所に飛んでいる蝶やトンボを捕まえる程度のレベル。
お盆に里帰りした際、日程が合わず会えない予定だったが、妹夫婦が1日帰省をずらして会えることになった。
「天気は悪いけど行ってみるか?」と言うと「待ってました!」と甥っ子。
どうやら、わたしに虫捕りに連れてってもらう魂胆があったらしい。

20分ほど車を走らせ、パークゴルフ場内にある公園へ。
芝生もあるし、池もあるので、子供はそれなりに楽しめそうな自然環境。
メンバーは甥っ子(6歳と3歳)、義弟とわたしの4人。
百均で購入した網1本しか持っておらず、思った通り甥っ子同士で網の争奪戦が始まったので、わたしの補虫網を6歳の甥っ子に貸すことにした。
壊してもいいから、思いっきり振り回せと言ったが、6歳には少々重く、扱いづらそうだった。

まずはトノサマバッタを目標に頑張る甥っ子6歳
闇雲に追い回すので、飛んだバッタの着地地点にそっと近づき、すばやく網を被せる方法を教えたが、網を被せる位置が微妙にずれて失敗が続く。


こちらは甥っ子3歳と義弟組
網の構え方が様になっている。
アカトンボ類を狙っていたが、なかなか網に入らない。
転びながらも虫を追いかける姿がカワイイのですよ・・・
それでも徐々に捕まえられるようになった。上達が早い。


今度は池にいる大型トンボを狙う甥っ子。ヤル気満々。
池に飛んでいるのはルリボシヤンマで、飛行速度が速く、警戒心が強くてなかなか近づいてくれない。
勢い余って池にドボンされると困るので、小沢にいるオニヤンマに目標変更させる。
オニヤンマは小沢上を低空で徘徊し飛行速度も遅く、無茶な刺激さえしなければ、失敗しても直ぐに縄張りに戻ってくるので、ルリボシヤンマよりは捕獲難易度が低い。
甥っ子に動き回らず沢脇の1地点に待機させ、近づいてきた個体を狙えとレクチャー。
自分はそれを少し離れた位置でオニヤンマの動きを報告し指導。
見ているとオニヤンマの動きに網が追いついていないのでダメかな・・・と思っていたが、少し目を離していた間にしっかりとゲットしていた。
やるね~!


わたしが捕った大型のニホンザリガニを眺める甥っ子×2
恐くて触れないらしい。ふふふ・・・
恐いもの知らずなのか度胸は3歳の方があるかな。

いい経験になっただろうか。
小学生だったら夏休みの日記の題材に最適なんだけど、幼稚園児なのでそのような宿題はないらしい。(残念)

「旭川に行ったときに一番楽しかった事は?」の質問に「お兄ちゃん※と虫捕りした事」と後日談。嬉しいこと言ってくれるね~
今度はキリギリス、カブトムシ、クワガタ捕りに連れていって欲しいらしい。
生き物に興味を持ってくれた事にとても嬉しく感じる今日この頃。
ただ、わたしとしては甥っ子に虫屋になって欲しいとは思わない。生き物と接することで命の尊さや生き物への慈しみを学び、飼育することで責任感が芽生えてくれればそれでいい。
今後の2人の成長が楽しみである。(伯父バカ)
※ わたし(40代)は甥っ子に「お兄ちゃん」と言わせている。罪悪感有り(笑)


不安と癒しの登山

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遠征して北大雪のある山に登山。
目的は純粋な登山ではなく、高山に生息するある数種を見つけ撮影する事。

早朝3時に札幌を出発。高速道路を快速に飛ばし、6時に登山口に到着。
札幌や旭川の天気は良かったのに現地に近づくにつれ雲が濃くなり、時々霧雨状態だったが、山頂からの眺望は期待していないので構わず登山決行。
登山者名簿に名前を書いて・・・ん?
前日とか数日前の何度かヒグマ目撃との登山者の情報が・・・
なかなかヒグマ出没頻度が高い山のようで。
初めて探索する場所はただでさえ不安なのに、追い打ちをかけるような闇情報。
駐車場には1台の車があり先行者がいるようなので、少しは安心だったが、わたしの登山ペースが速いのか、早々に追い抜いてしまった。
もう誰もいない。ふふふ・・・あははは・・・


しばらく登ると、雲がなくなり、視界が開けてきた。
下界には雲海が広がる。
絶景であったが撮影技術に乏しいので写真はしょぼい。雲海の撮影は難しい。


雪渓があった場所。
少しも雪は残っていない。7月上旬頃に登ればよかった。


頂上付近。
花の時期ももちろん終わっている。
この頃から、下界を覆っていた雲が流れるように上がってきて、辺りが薄暗くなってきた。
この辺りは開けていて目印になるような物もないので、うろうろしていると遭難してしまいそうだった。
暗くてピントが合わず写真もボケボケ。

そんな心細いわたしに癒しを与えてくれたのがコチラ↓

シマリス君
人馴れしているのか、かなり接近してきた。


花か実を立ち上がって食べていた。
か、かわいい・・・
どうやら、人馴れというより、わたしに感心がないようだ。


野生の哺乳類は警戒心が強いので、このように近くで観察できた事は貴重だ。

あっ、そうそう、ヒグマには合わずに済んだよ。
探索神に感謝。

探索結果については次回。

乏しい珍

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前回の続き。
登山した際の探索結果。
山頂手前(亜高山~高山帯)の石の下に潜む生き物を探す。

厳しい環境なので、種類と個体数は少ないと覚悟していたものの、それなりに高山特有の種が見られると期待していたが、探せど探せどスカ。
ここまで少ないとは・・・。苦労して登山した自分って一体・・・
標高的にも中途半端だったか・・・


高山蛾の一種かもしれない幼虫
ヤガ科の幼虫っぽいが・・・
石の下でよく見られた幼虫で、この個体はイワブクロの芽(?)を食べていた。
初夏に訪れると、この成虫がたくさん見られそうだ。


こちらも高山蛾かもしれない幼虫
ドクガ科ではなくヒトリガ科か?まさかダイセツヒトリの幼虫?


ヒラタクチキウマの一種(幼虫)
低丈植物帯の脇にあった窪みの石下でまとまって確認。
植物帯が雨風の影響を防いでいるらしく、意図的にこの場所に集まったのだろう。
高山帯では石に下でも確認されているらしいが本当のようだ。
成虫のサンプルを得たので、後日同定予定。
おそらくアレだろう。


キソヤマゾウムシ Byrsopages kiso
体色が赤褐色で、未見のゾウムシかと思ったが、特徴からキソヤマゾウムシらしい。
昨年採集した個体と比べると体長がやや小型など数点違和感を感じたが、他に該当する種もない。
未記載種ではなさそう。変異なのかも。
再度、標本と資料を比較して確認してみないといけないようだ。


オコックアトキリゴミムシ Cymindis vaporariorum immaculatus
1個体のみ確認。
これが今のところ唯一自信を持って種を断定できた種であった。

結局、目的のモノは見つけることはできなかった。
それにしても甲虫が少ない。
探した環境が悪かったのか、時期が悪かったのかは分からないが、1回の探索で把握することはできない。今後も何度か挑戦してみたいところ。体力があれば。

注:今回の探索は高山付近ですが、特別保護区内ではありません。

4種目(残り2種)

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先日、登山した際、石の下から採集したヒラタクチキウマの一種。
運よく雌雄で採集できたので同定してみた。
ヒラタクチキウマ類は似た種が多いので、雌雄の特徴をそれぞれ確認しないと正確性に欠ける。
特に雌のみの場合は、お手上げな事も多い。


こちらは雌
採集地から「ツヤヒラタクチキウマ」、「エゾヒラタクチキウマ」、「マツモトヒラタクチキウマ」が考えられ、日高山脈ではないが「ヒダカヒラタクチキウマ」の可能性も否定できない。


左:♂14mm 右:♀14~17mm
雄の前胸背部は平圧され、1~2個の浅い横溝がある。
雄の前胸背部の形状は各種違いはあるが、明確な特徴に乏しく曖昧なので、最終確認程度であまり参考にしていない。
よって今は割愛。


「雄の尾肢」
黄褐色で内側に弧状に曲がり、先端は尖る。
ヒダカヒラタクチキウマの形状に似るが、長さは写真より長く、色は黒褐色で先端は尖らない。
マツモトヒラタクチキウマの形状は、直線的でわずかに内や上に曲がる程度。
エゾヒラタクチキウマは全く異なる。
ツヤヒラタクチキウマの特徴に該当するが、先端が尖っているか微妙なところ。

この時点で決まったようなものだが、念のため雌も一応確認。


「雌の産卵器」
ちょっと写真では分かりづらいが、下片の鋸歯数は5で、上方への反りは弱い。
鋸歯数は5で該当するのは「ツヤヒラタクチキウマ」「ヒダカヒラタクチキウマ」「エゾヒラタクチキウマ」の3種。
この3種の他の産卵器の特徴は微妙なので、決定的な区別要因とならない。
やはり雌だけだとキツイものがある。雌は決定的ではなく補足的な同定資料。

以上からこの個体はツヤヒラタクチキウマ Alpinanoplophilus parvus としていいだろう。(資料よりも本種の体長がやや大きいが誤差範囲だろう)
これで北海道に分布するヒラタクチキウマ属6種の内、4種制覇できた。
狙ってはいなかったが、今回を機に全制覇したいと思い始めてきた。

個性を生かすと魅力的

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ある湖付近を探索した際に見つけた珍でない面々。
でも、それぞれ捨て置けない個性(?)がある面々。


ハギツツハムシ Pachybrachis eruditus
ヤナギの若枝で見つけた。
このハムシ、斑紋に変異があるのは知っていたが、こんなに美しい種だっただろうか?
・・・そうか、普通に見かけるハムシだけど、しっかりと見ていなかった種らしい。
今まで失礼なことをした。


フタキボシゾウムシ Lepyrus japonicus
上翅に笑顔マーク(^^)があるのが特徴。
珍じゃないが、微笑みをあなたにプレゼント
この斑紋で天敵を油断させ、敵意を無くさせる効果があるとかないとか???
友好的解決方法のひとつ。


ルリタテハ Kaniska canace
飛ぶスピードが速く、なかなか止まってくれないので、採集も撮影も難しいチョウ・・・というイメージ。
しかも写真のように翅を開いて、こちらにサービスしてくれることなどほとんどない。
もしかすると、このようにしっかり実物を見たのは初めてかもしれない。
太陽光下で翅の青色が映えて、ハッとした美しさがあったが、写真で見るとそれ程でなかった・・・残念。

探索モチベーション下降気味↓

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先日、またもや亜高山帯(石狩山地)で探索。
最近、休みが思うように取れない。フラストレーションが溜まるのにお金は溜まりません。
なにかスカッとするような珍を得たいところ。


ここは昨年、無翅ハエを発見した場所。
見つけた場所は沢脇の石の下。
今回は、石の下はもちろん、落葉層も確認してみることにした。
この場所とは異なるが日高山脈でも別種と思われる無翅ハエ見つけているので、なんとなくだが潜んでいそうな場所は把握しているつもり。
失敗したのは、篩を使用しなかった事。これを使用するとしないとでは効率が大きく変わってくる。
何故使わなかったのかと言うと、探索のモチベーションがいまいち上がらなかったから。
疲れているのだろうか、それとも過剰なフラストレーションの影響か・・・
なので、集中力に欠け、流すような簡易的探索しかできなかった。
結果も遠出した割には散々たるもので・・・


ルリマルクビゴミムシ Nebria shibanaii shibanaii
沢脇の礫層の隙間に必ずと言っていい程、潜んでいる。
ここでは陳腐種。
和名の通り青色光沢があるが、そんなに青色は強くないので、初めて採集した時、落胆した覚えがある。
ただ日高山脈亜種の光沢は、美しい事、山の如し。


エゾヒメナガゴミムシ Pterostichus subgibbus
石の下と落ち葉下でよく見かけるゴミムシ。
あとダイセツヌレチゴミムシも同様の環境でよく見かけるゴミムシで、以前は喜んで採集していたものだが、陳腐種扱いとなり無視するほど珍度急降下。


ダイセツチビゴミムシ Trechus nakaguroi
落ち葉下で1個体のみ見つけた。
個体数は少ないので、なかなか得られない。それでも篩を使用していればそれなりに得られただろうに。

あとはキタツヤシデムシが少々・・・
結果として、目新しい珍は得られず、無翅ハエも得られず。
やはり原因は探索のモチベーションの低下だろう。困ったものだ。

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