今シーズンの春にエゾガロアムシの終齢に近い幼虫を複数採集して、成虫になる過程を調べる目的で飼育しておりました。
(ガロアムシは幼虫期間が5〜7年と言われ、なるべく大型の幼虫から飼育しないと効率が悪い。)
一応、なんとか結果を出せたので簡単に報告します。
<飼育経過>
採集した幼虫は冷蔵庫にて10〜13℃で飼育。
ガロアムシはあまり室温に接すると脱皮など飼育に悪影響が出る事があるので、観察のタイミングが難しかった。
環境が維持できているならなるべく放置飼育がベストです。
8月中旬から次々と脱皮し、下の画像の状態になった。(計5個体)
脱皮して短い産卵器が発生した個体
この個体は尾肢が欠けているが、この時点で尾肢は8節。(別個体で確認)
今までこの『短い産卵器が発生した個体』が終齢幼虫で、この後もう一回脱皮して産卵器が更に伸び、体色も飴色となり、成虫になるのだと思っておりました。
これが経過を観察していくと違うことに気づいた。
下の画像は脱皮後25日ほど経過した個体
脱皮後20日を過ぎたあたりから急に体色は赤みを帯び始め、産卵管が伸びた。
尾肢の節数も不完全であるが8節から9節に増加。
しかし脱皮殻はなく、どの個体も脱皮した形跡はない。
下は更に数日後の画像(別個体)
体色が飴色となり、完全に成虫になりました。
側面で変化の経過を確認
(上段:脱皮直後、中段:脱皮から約25日経過 下段:脱皮から約28日経過)
体色が徐々に飴色に変化し、産卵器が伸びて太くなる過程が分かる。
<観察結果まとめ>
脱皮から変化が始まるまでの約25日間は、体色は白色で形態の変化はない。
脱皮から約25日経過する頃から変化が始まる。
まず体色が徐々に赤みを帯び始め、産卵管が徐々に伸び始める。
尾肢も同じ時期に1節増える。
この変化は脱皮を介さず進行する。
<観察結果からの考察>
脱皮から変化が始まるまでの約25日間は、完全な成虫になる待機期間で、「亜成虫」的な状態ではないだろうか。
そして、この脱皮より前の幼虫が終齢幼虫となると考えられる。
※ 「脱皮から約25日経過」や「脱皮から約28日経過」とありますが、あくまでも今回の観察結果の平均日数であり、日数(期間)には個体差があります。
何かの要因で(温度など)で誘発されるのかもしれません。
今回の報告は今後の結果で訂正の可能性もあります。
(今後も更に追究していこうと思います)
↧
エゾガロアムシの成虫になる過程
↧