湿地を探索中に藪(主にスゲ類)の中から、ジーーと小さな音がした。
小型のコオロギっぽい音だが、この早い時期に鳴くのは何者だろうか・・・
確認したいところだが、うかつにかがみ込んで藪をかき分けるとヤブカやマダニの餌食になってしまう。
半分諦め状態でしたが、草がまばらな泥地を歩いていたら、それが出てきた。
エゾスズ
湿地に生息する小型コオロギ(写真の個体は雌)
雌は途中からパッツンと切り込まれた感じの翅が特徴でしょうか。
バッタが鳴き始めるのは主に夏から秋にかけてでありますが、本種は晩春〜初夏から鳴き始めるので違和感を感じたりする。
幼虫で越冬するので、早い時期に成虫が現れる。コオロギ科で幼虫越冬する種がいるとは知らなかった。
このタイプの小型コオロギでよく見かけるマダラスズやシバスズがいるが、これらが鳴くのは秋くらいから。
イグチケブカゴミムシ
前胸背部の点刻と上翅の条溝が深く、黄色の細毛に覆われているのが特徴のゴミムシ。
エゾアオゴミムシを探していると、しばしばゴミ下から現れた。
変わった体型なので、なんとなく標本用として採集させて頂きました。
エゾアオゴミムシ(♂)
河原のゴミ下を探して、ようやく発見。
おそらくトラップを仕掛ければ少ないカップ数でも、たくさん採集できそうだが、ゴミや葦の枯草溜まり下から探し出すと、ほとんどがアオゴミムシとセボシヒラタゴミムシが出てくるので紛らわしくガッカリさせられる。
あと、河原の湿地探索で見られたのは石の下からはミズギワゴミムシ類数種、ゴミや葦の枯草溜まり下からはアオホソゴミムシ、セアカオサムシ、エゾアカガネオサムシなどなど。
そしてペデリン(毒)含有でお馴染みアオバアリガタハネカクシが大量に出没。
前回(1ヶ月前)の探索より倍増!ここで灯火採集をしたら恐ろしいことになりそう・・・
オオトラフトンボ(♂)
偶然にもたくさん飛んでいる人工池を発見。
ここで確認できたトンボはシオヤトンボと本種のみ(イトトンボ類は除く)
観察しているとシオヤトンボが優勢らしく、なかなか縄張りを持つことができない状況に見えたので、ちょっと実験でシオヤトンボを捕まえ、占有されていない空間を作ってみると、すぐに本種が現れて自分の縄張りにした。
縄張りを持てない待機組(♂)がいるらしい。
池周辺の藪や樹上で隠れて(休んでいる)個体もおり、餌を捕獲する時だけ池の中央に降りてきて、満腹になるとまた戻るといった行動も見られた。
これらは縄張りを持たない雌なのか、それとも縄張りを持てない雄なのかは不明。
エゾトンボ科の複眼は、瑞々しくて、深くて、吸い込まれそうな美しさがあります。
すさんだ心のわたしには眩しくて直視できません(笑)
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6月湿地あれこれ
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