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Channel: 探索・採集・飼育みたいな雑記的記録
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シン・Gasaってハニー

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北海道RDBで希少種に指定されている「キスジホソハムシ」が今回の目的。
実は札幌近郊の沼や水路に多産しているらしいので、札幌を去る前に探しておきたい。
もう日数も少ないので、やや焦り気味で出撃。


自宅から1時間も掛からない近場にある水路
(写真では分かりづらいが、左下から右上にかけて流れている。)
キスジホソハムシのホスト(食草)であるドクゼリが普通に生えており、見た感じは深くなさそうなので、気軽にガサできそう。


ウェーダー着用して水路へ降り、水場に足を踏み入れた途端、ズボーーーッ!!
腰辺りまで一気に沈んだ。た、助けて~
どうやら浮島状態になっており、実際かなり深い。
これは河童のトラップだ!うかつに近づいた人間を引きずり込み、尻子玉を抜くのだ!
身動きがなかなか取れず四苦八苦したが、子供の頃、髪型から「河童」という屈辱的なあだ名をつけられたよしみなのか、探索神の御加護なのか、なんとか尻子玉を抜かれず脱出することができた。
油断もあったが、今までにない経験で、さすがに焦った。

気を取り直して、足場をしっかり確認しながらガサを開始。
急に風が猛烈に強くなり、網の中の確認がしづらくなる。ときどき横殴りの雨あり。
こんな天気に何やってるんだか。

マルガタゲンゴロウ Graphoderus adamsii
入る水棲昆虫の9割以上が陳腐なヒメゲンゴロウ、ガムシ、オオコオイムシ、マツモムシ。
ホントに稀にマルガタゲンゴロウとか入るので侮れないが、本命ではないので網から弾き飛ばす。
環境省RDBで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されているのに雑な扱い。


エゾトミヨ  Pungitius tymensis
北海道RDBでは希少種に指定され分布も局地的。
この水路での個体数はかなり多い。
トミヨ属淡水型(旧名:イバラトミヨ)らしき個体も見かけたが、ほとんどが本種。
トミヨ属淡水型に比べて体型がずんぐりしており、背棘が10本以上あることなどの特徴から区別できる。


エゾホトケ Lefua nikkonis
北海道RDBでは絶滅危惧種(En)に指定されているが、北海道の湿地や水路で普通に見られる場所が多い。ただ、ここの水路での個体数は少ない・・・というかエゾトミヨが多過ぎ。
ノーマルなドジョウもちらほら。

ドクゼリが生えている周辺(浮島上)を重点的にガサるが、入るのは前出の生き物ばかり。
本命のキスジホソハムシは未だ入らず。
そこで水路中央で浮島部分が途切れて水面が見える部分を探してみた。
足元が極めて不安定な場所なので、一歩間違えるとドボーーンだ。2回目は河童も許してくれないだろう。
腕を伸ばして恐る恐るドクゼリ周辺をガサガサ・・・

キスジホソハムシ  Prasocuris phellandrii
あら、やはりここにいたのね。
成虫は水中で越冬するらしいが、どのような仕組みで呼吸しているのだろうか?
ゲンゴロウ・ガムシタイプか?ドロムシタイプか?それとも空気溜まりに潜んでいるのだろうか?


ガサる場所が間違っていただけのようで、この後、短時間で次々に入ることになる。

本種は国外にも分布するが、国内では1990年代になって北海道で発見されたシン・ハムシ。
それほど特殊な環境に生息しているわけではないのに、なぜ近年になるまで見つからなかったのか不思議でならない。
おそらく発見される以前にもゲンゴロウ採集などのガサ網に入っているに違いない。
存在に気付かなかったではなく、いかに興味がなかったからだろうね。
体色が単色で地味だったら未だに発見されていないかも。


このキスジホソハムシの模様と似た縞々の種が、網によく入るので実に紛らわしい。
この種、どうやらドクゼリらしい。
まさかホストである種に擬態した?


9個体得られたところで終了。
このハムシ、希少種の指定を外されるのではないだろうか・・・

帰宅して、石鹸で手を念入りに洗っても、風呂に入っても、手からヘドロ臭がわいてくる。
ヘドロのにほひ微香性(長時間長持ち)


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