先日、登山した際、石の下から採集したヒラタクチキウマの一種。
運よく雌雄で採集できたので同定してみた。
ヒラタクチキウマ類は似た種が多いので、雌雄の特徴をそれぞれ確認しないと正確性に欠ける。
特に雌のみの場合は、お手上げな事も多い。
こちらは雌
採集地から「ツヤヒラタクチキウマ」、「エゾヒラタクチキウマ」、「マツモトヒラタクチキウマ」が考えられ、日高山脈ではないが「ヒダカヒラタクチキウマ」の可能性も否定できない。
左:♂14mm 右:♀14~17mm
雄の前胸背部は平圧され、1~2個の浅い横溝がある。
雄の前胸背部の形状は各種違いはあるが、明確な特徴に乏しく曖昧なので、最終確認程度であまり参考にしていない。
よって今は割愛。
「雄の尾肢」
黄褐色で内側に弧状に曲がり、先端は尖る。
ヒダカヒラタクチキウマの形状に似るが、長さは写真より長く、色は黒褐色で先端は尖らない。
マツモトヒラタクチキウマの形状は、直線的でわずかに内や上に曲がる程度。
エゾヒラタクチキウマは全く異なる。
ツヤヒラタクチキウマの特徴に該当するが、先端が尖っているか微妙なところ。
この時点で決まったようなものだが、念のため雌も一応確認。
「雌の産卵器」
ちょっと写真では分かりづらいが、下片の鋸歯数は5で、上方への反りは弱い。
鋸歯数は5で該当するのは「ツヤヒラタクチキウマ」「ヒダカヒラタクチキウマ」「エゾヒラタクチキウマ」の3種。
この3種の他の産卵器の特徴は微妙なので、決定的な区別要因とならない。
やはり雌だけだとキツイものがある。雌は決定的ではなく補足的な同定資料。
以上からこの個体はツヤヒラタクチキウマ Alpinanoplophilus parvus としていいだろう。(資料よりも本種の体長がやや大きいが誤差範囲だろう)
これで北海道に分布するヒラタクチキウマ属6種の内、4種制覇できた。
狙ってはいなかったが、今回を機に全制覇したいと思い始めてきた。
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4種目(残り2種)
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