昨年に採集した原記載地(石狩山地産)の雌から得られた卵が、先日孵化。
エゾガロアムシ初齢幼虫
体長は約3mm
卵の大きさは夕張山地産と比較して小型だったにもかかわらず、孵化した初齢幼虫はほとんど体長に差はなかった。
少しは小さいと思ったが、これは意外な結果だった。
産卵〜孵化までの卵期は、約8ヶ月
同じ日に3個体の孵化を確認。
以前、夕張山地産の卵が孵化した際の卵期は約14ヶ月と差があるが、産地によって卵期が異なるとは限らない。
エゾガロアムシは1日当たりの産卵数が約1個だが、今回同日に3個体が孵化した事と、冷蔵庫内にある飼育容器の保管位置を変えたり、産卵床としていた粘土を交換した数日後に孵化する事が多いので、一定の卵期(卵内で幼虫が孵化できるまでの成熟期間)を経過し、環境(気温や湿度など)が適した状態になると孵化するのではないかと考えられる。
※ 冷蔵庫内は場所によって温度に差があります。
地下という安定した温度環境で生活するガロアムシだが、環境的に安定はしていても完全に一定という訳ではないので、他の昆虫のように孵化にはそれなりの刺激が必要なのかもしれない。
(ということを前にも言ったかもしれない)
ただ、最低どのくらいの卵期が必要なのか、詳しい孵化の要因というのは今後の課題だが、少しずつデータが集まってきているのでもう一息。
孵化途中の初齢幼虫(ゴマのような黒い物体は卵です)
まさに産まれる瞬間。
ピーンと直立して微動たりしなかったので、最初ゴミかと思ってしまいました。
滅多にお目にかかれない貴重なシーンなので、じっくりと撮影や観察をしたいところだが、長時間室温に触れさせると孵化に悪影響を与えてしまうため、数枚だけ撮影して速やかに冷蔵庫内(飼育場所)へ移動。
これは以前紹介した「エゾガロアムシの交尾」がレア画像なら、「エゾガロアムシの産卵シーン」と並ぶスーパーレア級。(?)
ちなみにガロアムシの若齢幼虫は全身白色なので、撮影すると「白飛び」が起こってしまい、折角の資料画像が台無しになることもしばしば。
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孵化途中
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