北海道に生息するクモガタガガンボは現在、チビクモガタガガンボChionea gracilistylaとニッポンクモガタガガンボChionea nipponicaの2種が分布していることになっている。
研究が不十分なため正確な種類数は不明であるが、個人的に3タイプあると思っている。
1つは、小型で雄の後腿節が肥大せず、雌の産卵管は長いタイプ(Aタイプ)
もう1つは、大型で雄の後腿節が大きく肥大し、雌の産卵管は長いタイプ(Bタイプ)
最後に雌の産卵器が短く、雄は不明なタイプ(Cタイプ)
数年前にも相違点からこれらが別種なのか個体変異なのかという内容の記事を載せたが、今回、新たに判明した事などを含め、内容を大きく変更することにした。
(前回の記事内容とは異なる点もあるので、混乱を避けるため前記事は削除しております)
本来、種の区別には雄の交尾器を調べるのが有力であるが、小さすぎる上、繊細なため、わたしには手に負えないという事を最初に述べておく。
<上面>左:Aタイプ♂ 右:Bタイプ♂
写真ではAタイプが約3mm、Bタイプが約6mmと明らかに体長が異なるが、実はそれぞれ体長にばらつきがあって、どちらのタイプか曖昧な個体もある。
また、体色は主にAタイプは黒褐色、Bタイプは黄褐色となっているが、黒褐色のBタイプもおり、飼育していると黒化する個体もいるので、体色に関しては決定的な違いではない。
把握器も大きな差はないように思われる。
<側面>上:Bタイプ♂ 下:Aタイプ♂
一見、体長、体色、後腿節以外は大きな違いがない。
こうなるとA・Bタイプは単なる体長の異なる個体変異である可能性が高くなるが、決めつけるのはまだ早い。
Aタイプ♂腹部拡大
第2~4腹節背面に前方に緩やかに突き出た凸状突起がある(白い矢印部分)
Bタイプ♂腹部拡大
肢には毛が密生しており、キウイフルーツのように肥大した後腿節に目がいってしまうが、それは後でじっくり見て頂いて構わないので、まずは腹節に注目してもらいたい。
大型なら特徴が顕著に現れるはずだが、なんとBタイプの腹節には突起が見られない。
痕跡すら見当たらないツルリン状態。(毛はあるけど)
この違いはかなり重要。
今まで気付かなかったのは恥ずかしい限り。
これでAタイプとBタイプが別種の可能性が高くなった。
AタイプがチビクモガタガガンボChionea gracilistylaでBタイプがニッポンクモガタガガンボChionea nipponicaということになりそうだが、この2種に関する詳しい文献がないため推測となる。
もちろん謎のCタイプを忘れてはいけない。
次回はCタイプが何者かという事を調べたいが、このタイプは個体数が少ないのか、なかなかお目にかからない。
ちなみにこれが過去に採集したCタイプ♀
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北海道のクモガタガガンボについての中途半端な詳細(改)
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