雪解けの増水も一先ず落ち着いた今日この頃。
この日の天気予報は一日中曇りであったが、いい感じで晴れてくれた。
予報に疑いを持ち、とりあえず出掛けるのがgecko流探索術。
以前、エゾハンミョウモドキを確認した湿地。
数年前の大雨で、木はなぎ倒され、地形も変わり、湿地の大部分が消失してしまった。
環境は回復していないように見えるが・・・。
エゾハンミョウモドキはいるだろうか?
湿地の規模が激減した分、そこに集結しているのか、たくさんのミズギワゴミムシ各種が見られた。
もう同定する気もおきない。
ツノヒゲゴミムシ
他にはキベリアオゴミムシやセボシヒラタゴミムシが陳腐な面々が見られた。
珍なるエゾアオゴミムシやクマガイクロアオゴミムシは元々ここにはいないようだ。
今度どこかでアナバネゴミムシも見てみたい。
昼になり徐々に気温が上がってくると、ヒメハンミョウモドキもわらわら出てくるようになった。
この子が多いとエゾハンミョウモドキの期待も膨らむ。
で、かなり念入りに探してみたが、見つけることはできなかった。
久々に会いたかったが残念だね。
落ちていた木片の下には、アラメニセマグソコガネ。
ちょくちょく見かけるので、珍かどうかは分からない。
近くに発生場所があるのか、なぜか湿地にミヤマカミキリモドキが複数。
見つけようと思って見つけるのは難しい種のような気がする。
カミキリモドキだがゴミムシっぽい風貌だ。
今回はモドキやらニセやら、悲しい和名を付けられた者がわたしに自己主張した日。
贋作堪能
空白地帯
2日間かけて阿寒~知床の地域(国道242から東)を再挑戦。
結果はガロアムシの生息を確認できなかったが、過去数回の結果からこの地域には生息していないと判断していいかもしれない。
阿寒周辺の理由(仮説)として・・・
①:環境は、冷涼多湿で空隙のある礫層が普通に見られる良好な環境なのに、コムシ、ジムカデ、ゴミムシなどが異常なほど確認できなかった。
しかも、この周辺にブヨと蚊がほとんどいなかった。
という事は、有害な何かが沢の水に含まれている?
②:少し掘ると、黒い礫層にぶつかる。最初、石炭かと思ったが、よく見たら石が焦げたように変色していた。これは過去の阿寒あたりの火山活動による影響と思われる。
かつてはガロアムシが生息していたが、火山活動で全滅または激減した?
③:何ヶ所か昔、大規模に森林伐採した形跡があり、それによる環境破壊で全滅または激減?
②③が理由なら、知床周辺に隔離分布していてもおかしくないが、北部の訓子府周辺も含め確認できない。
①が理由なら、知床まで生息拡大できない説明はつくが、そんな広範囲に有害物質が出ているものだろうか?
結果:何故いないかよくわからん。とにかくいないのだ。
羅臼岳
成果がないので、漫然と世界遺産を観光してしまった。
雪渓付近を調べたいが、世界遺産なのでそうはいかない。というか、あそこまで登れるの?
知床峠からの国後島
北方領土は日本固有の領土。ロスケにはさっさと返してもらいたい。
バッコヤナギの葉にウズマキハムシ
だから?って感じ。
車で移動中、子ぎつね2回、子ネコ1回、轢きそうになったが、なんとか回避することができた。
なんで吸い込まれるように車に寄って来るんだよ・・・もう。
その代わり、のろまなカラスの群れに突っ込み、逃げ遅れた1羽を撃沈
いやホント勘弁してよ
車は無傷だった。ウサギやタヌキの撃破経験により車の耐久力が上昇したのだろう(?)
今シーズン無事に乗り切れるのだろうか・・・
では何者?
先日、高地で偶然見つけた翅が不完全と思われた謎のハエ。
写真を撮り損ねたが、別の場所(高地)で見つかった。
ということは、このような種らしい。翅は退化途中なんだろうか。
相変わらずハエは面白いがわたしを悩ます。
ミイラ取りでないのにミイラになる
この時期、あの山地にはあのチョウの爺の最高ランクを狙って目が血走った輩が集まる。
彼らは極めて排他的の割りに他人のテリトリーには侵略的なので、トラブルも多いと聞く。
もっとも、全員がそういうバーサーカー(?)ではなく、友好的な人もおり、いろいろ有益な情報交換ができることもあったりなかったり。
そもそもわたしは、自然の中では人に会いたくないのだよ。排他的(笑)
目的は異なるとはいえ、なるべく彼らとは接触を避けたいので、誰もいない林道を探索。
ということは、ここには彼らが欲するチョウはいないと思われる。
あっ、ホソバヒョウモンだ。
他にもアカマダラ、サカハチチョウ、シロオビヒメヒカゲ、エゾシロチョウなどなど・・・
意外にこの林道はチョウの数も種も多いが、今回の網は蝶用でない。(車に戻ればあるけど)
脱線してはいけないと自分に言い聞かす。
カラフトタカネキマダラセセリも多かった。
たくさんいるんで乱暴に採集してるよ・・・これはいけない。
ん?すでに目的を見失っている。
おお~オオイチモンジもいた。爺1だけど。
近づいてくると思わず捕獲してしまう癖、なんとかしなければ。
チョウに時間を費やし過ぎて、本来の目的を探す時間が無くなってしまった・・・
ただでさえ今年は晴れの日が少ないのに、何やってるんだか。
はじめての ちいさな いきものの しいく と かんさつ
「はじめての ちいさな いきものの しいく と かんさつ」学研
写真家の武田晋一さんから新著が届きました。
対象が幼児~小学生とはいえ侮るなかれ。驚くくらい写真が豊富で、生き物の生態写真がとても見やすく、私のような「高レベル探索者」(←何言ってる)でも参考になるのが素晴らしい。
わたしの知らない興味深い情報もあり、読んでいてワクワク感が止まりません。
これはもう図鑑レベルと言っても過言ではなく、ハンドブックとしても十分使えるでしょう。
ほんのちょっと協力させて頂いたので、協力者としてわたしの名前が載っております。
無罪です
エゾタヌキの子供
死んだばかりっぽい。傍に何者かがいたが、確認する前に逃げられてしまった。
親タヌキなのか?捕食者なのか?前者だったら、もの悲しい。
一応断っておくが、わたしが車で轢いたわけではないよ。やってないよ信じてよ。
未来の道教え
ミヤマハンミョウの前蛹
考えてみれば、ハンミョウは成虫以外のステージを見たのは初めてかもしれない。
成虫になって、わたしを導いておくれ。
道東も容赦なく暑い
シララカハナカミキリ Judolia parallelopipeda
道東の某所で採集。別にこの種を狙っていたわけではないが、辺りにショウマが咲いていたのでなんか珍カミキリでもいないか物色していたら見つけた。
テネラルだったらしく、素手で捕獲したら潰してしまったよ。
カミキリ採集は牧歌的で、気分的にも体力的にも楽なので、サブ採集に最適だ。
特定の種を狙うとなると話は変わるが、牧歌的採集なのは変わりない。
ただサブだからと言って侮るなかれ。ついつい夢中になってしまう採集なので時間を忘れて没頭すると、本命が疎かになること多し。
最北の白、あふれ出す白
本日のホンブレイキマイマイ
写真からは無色帯のヒメマイマイにしか見えないが、現物を見たら殻の厚みや成長肋の感じが異なることが分かる。
この辺りのヒメマイマイは9割以上が無色帯であったので、紛らわしいと思ったが、調べてみるとここのヒメマイマイは砂浜などの海沿いに多く、ホンブレイキは海岸から少し離れた森林沿いの草むらで見かけることが多かった。
と言っても混生しているんだけどね。
ちなみにホンブレイキは有色帯も確認済み。
ある意味糞虫
アザミの葉で見つけたアオカメノコハムシと思われる幼虫。
自分の糞を背負って、天敵から身を守る。
もちろん見た目で糞に擬態しているのであって、臭いから天敵が避ける訳ではない。
人間が真似をしたら、同族が避けるのでお勧めできないが、ある意味効果覿面だ。
大破壊その後
毎年のこの時期、大雪山周辺の林道を探索しているが、数年前から台風や大雨が数回襲った影響で、現在でも通行止めがほとんど。
銀泉台に続く林道と高原温泉に続く林道以外は全滅と言っていい。
何ヶ所か回ってみたが、全てこんな感じ↓
狙ったように木が林道上になぎ倒されている。
これが延々続いているので、先へ進むのは無理。
針葉樹が多く、タマムシがいたが・・・
完全に崩壊
迂回すら無理。近づくのも危険。
林道が河原になってしまっている。(中央奥が林道の続き)
これはまだいい方。
こちらは完全に川になってしまった。注:標識あります。
すでに道ではないので、これ以上進んだら遭難してしまうのではと、珍しく探索中に不安になった。
そんな林道なのに、オフロードバイクの通った痕跡があるのがスゴイ。
この辺りの林道は、使用する人が少ないので、もう修復されず、いずれ自然と同化して道の痕跡すら失ってしまうだろう。
クリソリーナ
目的のものを見つけることができなく、意気消沈して林道を引き返す。
林道脇にはフキが生えており、何かの食痕があるので、あのハムシをちょっと探してみた。
「クリソリ~~~ナ!」とイタリア人っぽく巻き舌で叫んでから探すのがコツ。
恥ずかしがることはない。付近にはヒグマとエゾシカしかいないのだ。
いたいた・・・紺色型。同色の雌雄確認。
おそらくオオヨモギハムシでないかと。
おおっ、銅色型もいる。同色で雌雄確認。
ということは、こちらはアイヌヨモギハムシだろうね。よしよし。
個体数多いね、ここ。
帰宅して確認すると・・・
なんと、どちらもしっかりとした後翅があるではありませんか!
何かの間違いかと思って、交尾器の確認してみると、どちらも陳腐なヨモギハムシだった・・・
まさか同じ場所で、異なる体色が混生しているとは驚きだ。
くそ~ハムシのくせに!
特徴的だが謎
道北の海岸部で見つけた謎虫。
初見のトビケラの一種でないかと思い、調べてみたが該当種が見当たらず。
しかし、調べていくうちにトビケラではなくヒメカゲロウの一種に近い気がしてきた。
ただ写真のように、特徴的な翅が大きくえぐれている種は見つからなかった。
珍種だろうか?
特赦昆虫
今年も自宅の庭にあるアケビにアケビコノハの幼虫が発生。
昨年は見かけなかったので、ちょっと心配していたがよかった。
我が家で食害を許される選ばれし昆虫のひとつ。
終齢っぽい幼虫を2個体確認。
宇宙人?
このユーモラスな顔・・・これが恩赦の理由。
毎年この顔を確認するのが庭での楽しみとなっている。
まぼろしの白
今シーズン、石狩山地最東部域(この地域から西では今のところ未確認)で採集したガロアムシの幼虫をしばらく飼育していたが、先日、脱皮して亜成虫となった。しかも雄。
(このステージを終齢幼虫とする説もあるが、わたしはいろいろな理由から亜成虫として扱っている。)
今まで多くの幼虫を飼育してきたが、雄になったのは初めて。
それほど雄の割合が低いのよガロアムシって(ナナフシの一種ほどじゃないけど)
この幼虫の特徴は、やや小型ってことだ。
なるほどね・・・
さて、そろそろ涼しくなってくるので、本業の掘削系探索に移行しますかね。
でもまだ少しやることが残っておるぞい。(何を?)
黒いと新鮮、でも臭い
ツノグロモンシデムシ Nicrophorus vespilloides
触角の先端部は黒く、端紋は黒色部に囲まれるのが特徴。
北海道と本州の高地に生息しており、札幌にいた頃は見たことがなかったが、旭川近辺の山地での個体数は多いようだ。
場所によっては、本種とヒメクロシデムシのみがトラップにわらわら入るところも。
腐肉に集まるだけあって、シデムシの臭さは吐き気を催すほど強烈過ぎて、触るのに躊躇してしまう。あと、体を動き回るダニのおまけも嫌だ。
シデムシは取り扱い要注意昆虫の筆頭だ。大丈夫なのはキタツヤシデムシくらい。
それでも、触角の先端部が橙色のモンシデムシばかり見ているためか、本種の触角を見ると新鮮な気持ちになったよ。
アケビの樹海の黒真珠
庭のアケビからアケビコノハの幼虫の姿が消えた。
蛹化したらしい。探してみようかね。
「ここだ!ここだ!ここが怪しい!」 小瓶の中のルースが騒ぎ出した!(またかよ・・・)
ちょっと失礼して中身を確認。
大きく黒い蛹が「ぶるんぶるん」くねる。
元気なようでなにより。
オホーツク防衛
海岸では対ゴジラ兵器であるMOGERA(モゲラ)がいつ来るか分からないゴジラを待ち続けていた。
かなり破損しているが大丈夫か?
そんなオホーツク海岸。
砂浜に打ち上げられた流木下に何かいないかとひとつひとつ確認していくが、いるのはハマダンゴムシばかりで、ゴミムシ類やゴミムシダマシ類すら出てこない。
一見環境は良さげなんだけど・・・
フルショウヤガ Agrotis militaris
いたのはこの子だけ。
日本では北海道のみに分布し、オホーツク海岸が主な分布域。
雪のマントをまとったような姿はまさに北方系の蛾にふさわしい。
もちろん属性は氷だ。見かけたのは夏だけど。
結局この砂浜で他に確認できた昆虫は全くいなかった。
気軽に訪れることができない場所なので、もう少し楽しませて欲しいところだったが、ある意味フルショウヤガしかいないスゴイ砂浜ともいえる。(1個体のみだけど)
もしかするとMOGERAが暇つぶしに他の昆虫を追い払ってしまったのかも。
ひいきの錯覚
首尾よくフルショウヤガが2個体、しかも雌雄を採集(前回の記事と違う日)することができたので、標本にしようと久々に鱗翅目の展翅に挑戦。
蛾は、ちょっと触れただけで鱗粉や鱗毛が容易に剥がれ落ちたり、脚が欠損する。
標本難易度は蝶の比ではないくらい高いので、慎重に進めなくてはいけない。
しかし今回、翅をなかなか広がせてくれず、あーだこーだしてるうちに鱗粉がどんどん剥がれていく・・・。
このまま未熟な腕で展翅を続けると、完全に禿げあがってしまい正体不明の蛾になりかねない。余剰個体もないので展翅は断念することにした。
そのまま串刺し標本にすることが得策だろう。
蛾をうまく標本にできる人を純粋に尊敬する。(いい方法あるんだろうか?)
こちらは雄
若干前翅の鱗粉が剥がれてしまったが、胸部の鱗毛はなんとか死守できた。
最初からこうすればよかったんだよ。
こちらは雌。
ちなみにこの蛾を美しいとかいう人がいるが、お世辞でもそれはないと思う。
よく見なくても地味で、斑紋なども特に珍しいものではなく、あまり特徴的ではない。
しかも他のモンヤガ亜科には似たものが多い。
これは地味でも産地が特殊などの珍種的付加価値がそうさせているためだ。
これを「ひいきの錯覚」とわたしは呼ぶ。
別に蛾が嫌いだから言ってるのではない。むしろ好きな方。
自分は、蛾は美しい種より、カオスな斑紋を持つ種が多いので魅力的に感じる。
ちなみにこのゴミムシはキクビアオアトキリゴミムシで珍種ではない。
かなりの美麗種だが、これを美しいと積極的に言う人は少ない。
上のフルショウヤガと逆パターンの一例。
太陽光下だと、もっと美しいんだよ。これを言ったところで誰の心にも響かないのだよ。
ルリハムシもまた然り。
あの日、長い一日
地震の影響で停電中
たった1日の停電なのに、日常生活にかなり支障が生じた。
いかに人が電気に依存しているのかを痛感。
これが真冬だと思うとゾッとする。