初冬ということもあり、生き物たちはすっかり越冬モードに突入しております。
先日の掘削系探索でも興味深い越冬を見つけました。
斜面を掘ると細かな礫が詰まった層があり、深さ30〜40cmくらいの地点に僅かに伏流水が流れている層(写真中央)がある。
上部の礫層にはエゾガロアムシやメクラチビゴミムシが生息しているが、伏流水が染み出る周辺は水量が増えた際に溺死する可能性があるので、この場所を好んで生息する生き物はいないといっていい。
ただ特例アリです。
エゾアカガエル
越冬場所のひとつとしてこの環境を選択している。
ある程度深さがある層で水が絶えず流れていれば、厳冬期も凍ることはなく、温度も一定に保たれるので、越冬に最適なのだろう。
ここでは同じ場所に2匹確認。
ただ謎なのは、どうやってこの深さまで潜り込んだのか?
ヒラタクチキウマの一種幼虫♂
こちらもエゾアカガエル同様の環境で、越冬のために潜り込んでいた。
隙間の広い場所に5〜10個体ほど集まっていた。この環境で越冬する時は集団越冬していることが多い。
深い礫層の中からヒラタクチキウマがわらわら出てくる状況を見るとさすがに驚いてしまう。
あえて複数でまとまって越冬するという事は、最適越冬条件が一致しているというより、集団ということで何らかの利点があるのかもしれない。
全て12〜13mmほどの幼虫で、成虫や更に小型の幼虫は確認できなかった。
ヒダカヒラタクチキウマやマツモトヒラタクチキウマは成虫越冬を確認しているので、この種も成虫越冬していると思うのだが、未だにこの時期見つけたことがない。
成虫が確認できれば同定することができるのだが・・・。
今シーズン中には成虫での越冬を確認して、同定も済ませたいところ。
ヒラタクチキウマの一種幼虫♀
実はエゾアカガエルとヒラタクチキウマの一種は同じ場所から掘り出した。
捕食関係ともいえるこの2種が同じ場所で越冬するというのはたいへん面白い。
冬期は一時休戦ということか。
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それぞれの越冬
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