7月に行った高山帯でのエゾガロアムシ探索の際に得られたゴミムシの一種。
同定するのは困難だと思い、冷凍庫でしばらく保管しておりましたが、ずっと放置するわけにもいかず、そろそろ探索閑散期に突入という事もあり、重い腰を上げて調べてみることにしました。
これも勉強のためです。
これは採集当時の画像(過去の記事で公開済み)
採集環境は沢脇のガレ場(礫層)の表層付近。
キヤツヤシデムシやルリマルクビゴミムシ、ダイセツチビゴミムシなどそこら辺の山地では見ることのできない珍なる面々が生息する場所で得られ、この謎ゴミムシの個体数は一番多かった。
左が雌で、右が雄
体長は7〜8mm
体色は光沢のある黒色で、触角、肢は暗黄褐色。
複眼は大きく、後翅は退化している。
最初、ウエノヌレチゴミムシに近い仲間と思っていたが、調べていくうちにエゾヒメナガゴミムシがあやしいのではないかと思い始めた。
唯一の資料である保育社の原色日本甲虫図鑑にあるエゾヒメナガゴミムシの特徴は・・・
?:前胸背板の幅は長さの1.25倍。
?:前胸背板の両側は後角の前で平行になる。
?:上翅基縁はあまり湾曲せず、肩には明らかな歯がある。
?:上翅の条溝は細く浅く、先端では更に浅くなり、細かい点刻がある。
?:体下両側面は点刻される。
以上の特徴を参考に比較すると、
?:前胸背板の幅は長さは約1.3倍で、誤差範囲内なのか微妙。
???の特徴は該当する。
?:上の画像から、体下両側面に明瞭とはいえないが点刻が確認できる。
以上の結果からこの謎ゴミムシは「エゾヒメナガゴミムシ」である可能性が高いのではと思ったりします。(自信を持って断言できないのが悲しいところ)
ただ採集地は石狩山地(大雪山系)の高地であり、近似種のダイセツヒメナガゴミムシの可能性も否定できない。(この種は体下面に点刻がないらしいが再検討が必要らしい)
ゴミムシは多様で似た種類も多いので、同定が難しいことを改めて痛感させられました。
資料が少ないのも致命的。
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ゴミムシ同定は難しい・・・
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