で、なぜ日高方面へ遠征に行ったかと言うと、5月に日高山脈南部でエゾガロアムシ探索の続きであります。
前回は幼虫のみの確認だったので、成虫サンプルを得るのが目的。
前回、エゾガロアムシ幼虫をたくさん確認した沢脇の斜面
3ヶ月経過し、斜面にはシシガシラ(シダ植物の一種)が生えていますが、ガレ場は健在で、探すには問題がなさそう。
まずはガレ場の上に堆積した落ち葉層の下をスコップで取り除いて確認。
前回簡単に幼虫が出てきたので、今回も直ぐにわらわら出てくる・・・と思っていたのですが、成虫どころか幼虫すら出てこない。
おそらく夏になって気温が上がったため、更に下の礫層に移動したのだろうと、礫層を掘ってみたが、またしても出てこない。
ジムカデも少ないし、出てくるゴミムシも地表に生息する種くらい。
しかもこんなイレギュラー陣が続々登場↓
セダカオサムシ
驚いたのがサイズで、今まで見てきたものよりかなり大型であった。
(左:今回採集した日高山脈南部産、右:札幌市産)
原色日本甲虫図鑑によると日高南部個体は大型で上翅は長卵形になるらしい。
上翅の条線も日高産は長くつながっているが、札幌産は細かく途切れてコブ状になっている。
オオルリオサムシやアイヌキンオサムシと似た傾向なんだろうか?
ヒダカキンオサムシ(アイヌキンオサムシの1亜種)
出てきたときに「おおおっ!」と思わず喜んだが、ガロアムシが好む環境(低温・多湿)にこの子が出てくるはずがない事に気付く。
昨日に雨が降ったので湿った環境に見えたが、このガレ場付近は日光が良く当たる場所らしく、普段は温度が高く、乾燥気味となるようだ。
ということは、更に下の粘土と礫が混ざる層にエゾガロアムシが潜んでいると判断し、更に深く掘ってみました。
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・・・出ないげほげほ
なんでやねん!!
ことごとく予想が外れ、今までの経験が役に立たない。(経験ってなんぼのもんじゃい)
3ヶ月前に大量に確認したエゾガロアムシが忽然と姿を消した事実。
少し休んで考えた結果。
?:ガレ場は深くまで気温が上がっており、春にいたガロアムシは適した環境へと移動してしまった。
?:環境の激変で全滅した。
?:連勤続きで精神的に疲れ、「ガロアムシが見えない病」になった。
?:わたしが探索に来る情報が事前にエゾガロアムシに漏れ、一斉に避難した。
?:盆だというのに墓参りもせず、探索に行ったので罰が当たった。(新聞の占いには墓参りに行くと吉とあった)
???は冗談として、?はちょっと考えづらい。
?なら、周囲の適した環境で見つかるはずで、気温が下がった秋には戻ってくる可能性もある。
エゾガロアムシは思ったより移動能力が高く、一定の場所に留まらず、広範囲を徘徊するのではないだろうか・・・ということにもなる。
というわけで、秋にもう一度確認しに行かなくては納得できない状況になりました。
(ハッキリ言ってこの遠征、運転がかなりキツイですが仕方がない)
メクラチビゴミムシの一種
違うポイントで1個体のみ確認。
楽古岳に近いのでラッコメクラチビゴミムシに近い種ではないかと思われるが、体長は約4mmで、ラッコメクラチビゴミムシより小型となる。
メクラチビゴミムシは極めて狭い範囲で多くの種に分けられ、記載産地で採集しない限り、曖昧な同定しかできない。ハッキリしないのはめんどくさいです。
側面
メクラチビゴミムシの側面って、モンスター風で個人的に好きです。
しかも背面の剛毛をしっかり撮影できたので、ちょっと嬉しい。
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the missing insect
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