ぶらり札幌市内の山地で探索。
ある目的の昆虫探索が見事に玉砕したため、サブ目的のクリソリーナ(ヨモギハムシ属)の一種で、未見のワタナベハムシを探してみることにした。
エゾゴマナ
ワタナベハムシの食草。他にミヤマアキノキリンソウなどがあるが、エゾゴマナは山地でまとまって生えているので、探しやすい。
しかし本命のワタナベハムシの他にもオオヨモギハムシやアイヌヨモギハムシも食草としている。
混生していたらどうしよう・・・
現地で交尾器の確認などの繊細な同定作業はしたくない。
オオヨモギハムシとアイヌヨモギハムシの雌の腹部末端にはフック状の突起があるので、雌らしい個体にフックが無ければ本命と思っていいだろう。
あとはその付近に潜む雄を見つければ本作戦は終了となる。たぶん・・・
おおっ!林道に入って間もなく、エゾゴマナの葉にくっ付いているクリソリーナ発見。
雌らしい個体だ。
腹部末端を確認してみましょう。
ぬおおお~フックあるじゃないか~!!
アイヌヨモギハムシなのか?それともオオヨモギハムシなのか?
くそ~~
アイヌヨモギハムシはアキタブキ、オオヨモギハムシはエゾゴマナ、ワタナベハムシはミヤマアキノキリンソウと言った感じで、ひとつの食草しか食べず、それぞれ重ならなかったら、どれほど探すのが楽な事か。
もしくは体色を明確に変えてほしい。(無理難題もいいところ)
その後もクリソリーナは次々と見つけることができたが・・・
雌らしい個体は10個体得られたが全てフックがあり、残念ながらワタナベハムシではない。
雄らしい個体は6個体得られたが、雌との割合から、本命である可能性は絶望的だろう。
意気消沈。
帰宅して、一応雄らしい個体の交尾器を確認してみた。
もちろん期待はしていない。
アイヌヨモギハムシ Chrysolina aino
左:♂ 右:♀ 雄の下は交尾器側面
雄の交尾器確認から6個体中3個体とフックのある雌10個体はアイヌヨモギハムシであることが分かった。予想通りの結果。
では残り3個体の雄は・・・
ワタナベハムシ Chrysolina watanabei
運よく雄のみではあるが本命3個体得られた。
アイヌヨモギハムシとしっかり混生していた・・・
それにしてもアイヌヨモギハムシ雌雄比10:3に対しワタナベハムシ雌雄比0:3とはどういうことか。雌はどこにいった?
この2種を観察してひとつ分かった事ある。
雄のみで今回探索した地域限定かもしれないが、前胸背部の点刻がアイヌヨモギハムシは均等に散在しているに対して、ワタナベハムシは点刻が少なく平滑な部分があることに気付いた。
これに留意していれば現地でも容易に区別できそうだ。
以下はおまけ。
オオヨモギハムシ♀ Chrysolina angusticollis
今回探索した林道から数キロ離れた場所のエゾゴマナで見つけた。
いろいろな体色があるが、藍色はよく見かける体色。
ワタナベハムシやアイヌヨモギハムシと比べて雌の光沢は弱いが、うまく照明を当てるとそれなりに輝いてくれる。
アイヌヨモギハムシ(空沼型) Chrysolina aino
アイヌヨモギハムシの空沼岳周辺に分布する色彩変異型で、知る人ぞ知る美麗種。
実はこの空沼型、雄ばかりで雌が未だに得られていない。半分諦めている。
そういえば数年前、苫小牧でも似た体色の産地を見つけ、gecko型と勝手に名付けた事がある。
懐かしくなったので、久々に再会目的で探索してみようかのぅ。
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雌に嫌われているとこういう成果となる事例
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