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Channel: 探索・採集・飼育みたいな雑記的記録
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蝦夷戸立て蜘蛛

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現在、エイリアン的なクモを飼育している。
どのような生態なのか興味のあるクモだ。


エゾトタテグモ Antrodiaetus yesoensis
北海道固有種
体長は10mmほどの原始的なクモ。
生息環境から森林などの地中に巣を作って潜むタイプで、生態はジグモに近いが、やや冷涼で湿度が高い環境を好むのではないかと思われる。
巣の入口には蓋があり、蓋の表面は周囲と同じ苔などで覆うらしい。

探そうと思って見つけ出すのは難しいクモだが、森林に仕掛けたオサムシ狙いのPTや、エゾガロアムシ探索の際、地中から出てくることもある。
PTに落ちた個体は溺死してしまい、生きて得ることは難しいが、写真の個体はガロアムシ採集時に沢脇の礫層中から掘り出したもので、もちろん生きている。


クモというのは頭胸部より腹部が大きい傾向にあるが、本種は逆で明らかに腹部が小さいため、やや違和感を感じる奇怪な体型をしている。
やはり不気味に感じる人が多いだろう。でも個人的には魅力的な体型で愛らしくも感じる。

飼育観察すると、飼育環境の都合上、普段は半袋状の巣を作って、その中に潜み、ほとんど動かない。
クモというのは臆病で過敏な種類が多く、餌付けが難しい。本種も同様。
あまり大きな獲物を与えると、驚いて逃げ回ってしまう。
動きが緩慢なクモに見えるが、実はかなり機敏に走り回ることができるようだ。
この見た目と反する臆病な性格がまた愛らしい。

詳しい資料がないので、本種の雌雄の違いというのが分からないが、写真の個体は触肢の先端に膨らみがないようなので、雌でないかと思われる。
できれば雌雄を得て、産卵させてみたい。
あとは、しっかりとした巣を作れるような飼育環境に改良したい。


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