アケボノマイマイ・・・。
Ainohelix io
本種は北海道の東大雪に局地的に分布するカタツムリの一種で、環境省RDBで準絶滅危惧(NT)に指定されている。
この名を知っている人は相当なマイマイ通ではないかと思うくらいマイナー種である。
今回このアケボノマイマイを探しに大雪山山麓へ遠征。
資料の写真を見る限り、同じ属のヒメマイマイとなんら変わりがないと感じたが、実際に採集して相違を確認したかった。
探索前日は雨(大雨)であったので、本来絶好のカタツムリ探索日和。
しかし雨後は普段乾燥している場所も湿ってしまうので、ポイントを絞りづらいのが欠点。
わたしは地表に隠れ潜む個体を探し出すのが得意(?)なので、この天候は相性が悪い傾向にある。
林道脇の日陰で湿った草地
ヒメマイマイのような樹上性でない地表性のカタツムリ探索は、以下のような段階を踏んで探すようにしている。
段階1:まず下草の葉上または裏を観察(見られるのは主に幼貝だが、低い位置では成貝も増える。)
段階2:下草を棒で叩きながら、落ちてくる個体を探す。(比較的大きな個体が得られる)
段階3:落ち葉上や地面を探す。(成貝専用)
段階4:深い草薮をかき分け、地面を探す。(最終手段で、分布確実地帯以外はここまでしない)
段階が上がるにつれ、探しづらくなり、個体数も減り、難易度が増すが、成貝の割合は増える。
最初に見つけたのは、胸の高さ辺りの葉上にいた殻径4mmほどの幼貝(段階1にて)
よく見ると、やすりのような細かい毛が確認でき、タカヒデマイマイの幼貝にとても良く似ていた。
殻に鱗片状の突起(殻毛)があると情報から、アケボノマイマイで間違いないだろう。
ヒメマイマイ同様、高い位置に上らない種類と思われるが、雨の影響で活発になったのかもしれない。
※ちなみに毛のあるヒメマイマイは何ヶ所か産地がある。
これは下草を叩いて落ちてきた殻径10mmほどの無帯の幼貝(段階2にて)
細かな毛もある。
この後、一向に現れなくなったので、地面を念入りに探す「段階3」へ移行したかったが、地面は笹が密生しており、一気に「段階4」へ。
マダニなんか気にしてられない。
やっと出てきた成貝
不自然に転がっていたが、死貝ではない。
成貝
殻径は15mmほど。
殻に辛うじて毛は残っているが、かなり擦れてしまって上部半分近くが白くなっている。
お世辞にも良い状態とは言えない。
採れた成貝は全てこんな感じ・・・完品を得るのは難しい種かもしれない。
成果は5〜6時間探して、成貝×3(死貝1つを含む)、幼貝×3
笹薮が密生し、探しづらい場所とは言え、時間効率が極めて悪い。
実はこの場所以外にも数ヶ所探してみたが、全然見つからなかった。
個体密度が低いのか、分布が極めて局地的なのか、探した場所が悪かったのか・・・
(個人的には探した場所が悪かったと思っているが、何が悪かったのか分からない)
ヒメマイマイ同様、比較的簡単に見つけられると甘く見ていたが、個人のカタツムリ探索史上最も過酷な探索となった。
※ 幼貝を含め、本種の生態写真というものはおそらく皆無。
だとしたら今回の写真は大変貴重。
もっとも、この価値が分かる人はかなり少ないと思われるが、悲しいところ。
ちなみにこの辺りのエゾマイマイの殻は独特の斑紋(正確には軟体の色が透けて見えている)を持つ個体であった。
エゾマイマイもそれほど多く見られなかったので、やっぱり探し方が悪いのかもしれない。
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アケボノマイマイ探索
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