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Channel: 探索・採集・飼育みたいな雑記的記録
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ピットトラップ遠征の旅?

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前回の記事の続き。
場所を移動し、日高山脈南部へ。
ここでの目的はオオルリオサムシの1亜種であるサッポロクビナガオサムシ。
札幌とは遠く離れた場所なのに和名にサッポロ・・・なんで?
和名というのは体色などの体の特徴や産地などを記したものが多く、実物を見なくとも和名を聞いただけでなんとなくイメージできるものだが、本亜種に関しては混乱必至だろう。


とある林内
本亜種の詳しい分布範囲は分からないので、無理な冒険はせずに無難な場所にトラップ設置。実はこれはかなりリスクが伴う危険な賭け。
トラップ設置時はエゾオオサクラソウが林床一面に咲いて華やかだったが、8日後の回収時にはすっかり咲き終わっており、様子が大きく変わっていた。(写真は回収時)

トラップは数ヶ所に仕掛け、設置数合計は60個。
設置期間、気温が低かったためか、カップに入っているゴミムシは少なく、目的外の黒系オサムシもちらほら。
う〜ん、ダメかも・・・と諦め半分で回収し続けると、緑色の金属光沢がキラリと輝くブツが・・・
こ、これは!!

あれ?サッポロクビナガオサムシってこんな体色もあるの?
しかも体長23mmとかなり小型だし・・・おかしい、おかしい・・・ん?
これアイヌキンオサムシ(亜種ヒダカキンオサムシ)じゃないですか。
比較的標高の高い山地に生息するアイヌキンだが、1亜種のコルベキン同様、海に近い低標高にもいるらしい。
目的とは違うが、美麗種なのでテンションが2上がった。(?)
その後もぽつぽつとヒダカキンが入っており、雌だけ3個体得られた。
もちろんこれで満足してはいけない。サッポロクビナガオサムシはどうなったかというと・・・

どうなったかというと・・・


これが本命サッポロクビナガオサムシDamaster gehinii sapporensis
体長は約30mm
体色は、頭部と前胸背部はやや緑色を帯びた赤胴色、上翅は暗紺色で光沢はほとんどなく、オオルリオサムシの中では美麗ランクは低い。
ここから北(空知郡南部)へいくと1亜種ヒメオオルリオサムシ、日高山脈東部から更に南部へいくと1亜種アラメオオルリオサムシへと移行する。

結局、トラップに入っていたのは、この♂1個体のみ。
ガソリン代や高速料金、カップや誘導液の料金、長距離ドライブの疲労を考えると、極めて割の合わない結果となった。計算すると1個体1万円以上となる・・・あ〜こわいこわい。
珍種(?)なので一筋縄にはいかないって事か・・・
そういえばオシマルリオサムシも初回は1個体のみだったし、こんなものかもしれない。
お札は飛んだが、ため息交じりでミッションクリアです。

<採集結果(オサムシのみ)>
セダカオサムシ:♂×1
アオカタビロオサムシ:♂×1 ♀×1
コブスジアカガネオサムシ:♂×1
キタクロナガオサムシ(亜種名オクエゾクロナガオサムシ?):♂×2
キタクロオサムシ(亜種名ヒダカクロオサムシ):♀×3
ヒメクロオサムシ:♂×1
アイヌキンオサムシ(亜種名ヒダカキンオサムシ):♀×3
オオルリオサムシ(亜種名サッポロクビナガオサムシ):♂×1

意外とオサムシの種類は多かったが、札幌近郊では個体数がやたらと多いエゾアカガネオサムシが全く入っていなかった。

<おまけ>

エカシマルトゲムシ
トラップに入っていた副産物。
山地の側溝内でしばしば見かけるカラフトマルトゲムシだと思ったが、やや大型に感じたので念のため持ち帰って調べてみた。
といってもカラフトマルトゲムシの体長は7.5〜9mmで、エカシマルトゲムシの体長は9〜10mmとそれほど大差ないので、気のせいと言われると否定できないけど(笑)

ちなみにカラフトマルトゲムシもエカシマルトゲムシも北海道RDBでは希少種に指定されている。
どちらが珍となると、おそらく後者だろう。


<交尾器>
形状からエカシマルトゲムシであることが判明。
運よく雄で助かった。これが雌だったら同定迷宮入り確定だ。


「ピットトラップ遠征の旅」はもうちょっと続くぞい。(結果は期待するなかれ)


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