数年前から北海道産ガロアムシの分布調査を個人的に行ってきた。
おおよそ解明されつつあり、今回推測の域を出ないが一時的にまとめてみることにした。
(いつ病気や探索中の事故に遭うかもしれないという事も考慮に入れて)
以前は報文としてガロアムシも扱っている日本直翅類学会の会報誌「ばったりぎす」に投稿していたのだが、最近いろいろあるらしく活動が滞っているのでブログで公開。
まぁ今回は内容的にも中途半端で、投稿しないレベルだけど・・・
まずは道東エリア
黄色帯は丘陵地~低山地になっており、そこから西は石狩山地でガロアムシは確認できる。
しかし道東エリアに入ってから、全くガロアムシが掘り出せなくなった。
(×は調査地周辺)
低地や大きな河川があるわけではなく、東へ分布域を広げられない原因が分からない。
地理的に渡れない原因がかつてあったのかもしれない。阿寒湖周辺の火山活動とか。
ここで更に東の斜里岳に飛び地分布していたら面白いのだが。
道東エリアの環境(置戸・陸別~訓子府・北見間)
冷涼で多湿な環境が普通に見られ、手ごろな礫層もある。
ただ空隙が少ないので、入り込んでいる生き物がかなり少なく感じた。
それでも夕張山地や日高山脈でこの環境があれば、苦も無くガロアムシを掘り出せるのだが・・・
こことは別の白糠丘陵では、ほとんどが乾燥気味で生息に適していなかった。
次は北見山地最北部の宗谷丘陵での調査。
手前の中頓別町(赤〇部分)では確認できているが、宗谷丘陵では確認することができなかった。
おそらく国道275が分布の境と思われる。
宗谷丘陵
2万年前の氷河期に形成された周氷河地形。
木々は疎らで、一面ササで覆われている。どこもこんな感じ。
このような状態では、土壌は乾燥し、冷涼な環境が維持できないので、ガロアムシの生息環境としては不適。
例え期待できそうな環境があってもササの根が邪魔で掘る事すらできない。
意気も低下する。
至る所にクマ出没の看板があり、奥へ入り込むのに臆してしまった。
明治に山火事があり樹木が消失したらしく、以降気候上、現在も樹木が回復していないという。ということは、昔はガロアムシ生息環境に適していて分布していたのかも?
分布域は簡単に色分けしてこんな感じ。
青:分布域(確認済み)
黄:調査中(分布している可能性がやや有)
赤:非分布域(分布の可能性が極めて低い)
北海道の中央部を南北に長く分布しているが、こう見ると思ったほど分布域が広くない。
更に・・・ゴホゴホ
調査でガロアムシが出れば分布していると明確に言えるが、出ないと本当に分布していないのか、たまたま出せなかったのかの判断が難しい。結果も推測になってしまう。
やはり個人的調査は限界があり、時間が掛かる。自由で制限ないのがいいけど。
※地図は国土地理院の地図を加工利用。
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暫定的分布域調査結果
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