新しい朝が来た。
タヌキを轢いた朝だ。
この日の目的はエゾコバネササキリの撮影と採集。
本種は道東と道北に局地的に分布している準珍虫。
湿地や池沼の周辺に生息し、ヨシやススキなどのイネ科の群落がある環境を好む。
しかも水際ギリギリという限定的で、探索にはやっかいな場所。
探索場所は酪農地帯を流れる河川。といっても流れはほとんどなく、水面も草で覆われている。水はドブ臭い。
試しにガサってみたが、ゲンゴロウ類など水生昆虫は皆無。なぜかエゾトミヨばかりが入った。
水際ではササキリ類の鳴き声は聞こえるが、本種なのかキタササキリなのか判別できない。
とりあえず長靴履いて、水際まで行き、ヨシをスイープ。
キタササキリは雌雄ともに、多くはないが網に入ってくる。
キタササキリも北海道のみに分布し、本種と同じ環境を好むので、入ってくるのは想定内。
網に入った「長い翅」や「長い産卵管」が見えると、またキタササキリかと落胆してしまう。
目的のエゾコバネササキリがちっとも入ってこないので、もしやキタササキリと混生していないのでは?と疑い始める。
網も破損しかけて、そろそろ限界かと諦めた時。
エゾコバネササキリ Conocephalus beybienkoi
やっと入った。写真は雌。
その後、ぼちぼち網に入ってきたが、やはり個体密度は低いと感じた。
しばらくして、あることに気付く。
雄が全く入ってこない。雌ばかりだ。
雌6個体に対して雄0・・・ガロアムシじゃないんだからこの割合はおかしい。
なぜ?
探す環境が微妙に異なるのか?それともタヌキの呪いか?
どちらにせよ時間も無いし、網もそろそろ使い物にならなくなってきた。
いくつか場所を変えて探せばよかったと後悔しつつ帰路へ。
片道4時間、往復8時間もかかる場所。
探索時間が短い割りに疲労は大きいという非効率的な探索なので、何回も通いたくない。
遠征して成果が中途半端だと疲れが倍増する。(呪いの効果か?)
持ち帰った個体♀が早速産卵していた。
ここから雄を出して成長させる方が手っ取り早いか?
↧
missing♂
↧