前回、未見であったワタナベハムシを無事見つけることができたが、雄のみで雌が見つからなかったため、1週間後に再挑戦してみた。
早朝の林道。
さすがにこの時期になると、少し厚着をしないと寒くてやってられない。
なのに蚊はやってくる。彼女ら(蚊)も必死なのだろう。
もたもたしていると刺されてしまうので、さっさとワタナベハムシの雌を見つけて撤収したいところ。
エゾゴマナを念入りに探すが、アイヌヨモギハムシ♂がぽつぽつ・・・
生態写真を優先しているので、カメラを不用意に近づけるとポロリもある。
動きの鈍いクリソリーナ(ヨモギハムシ属)だからといって油断できない。
ワタナベハムシ Chrysolina watanabei
前胸背部の点刻が少ないので、これはワタナベハムシ♂だろう。(帰宅後交尾器確認済み)
体長も若干アイヌヨモギハムシと比較して小型。
思った通り現地で交尾器確認をしなくても区別はできるようだ。(絶対とは言い切れないが信頼度は高い)
この子もワタナベハムシ♂
結局、雌は見つからなかった。(ちなみにアイヌヨモギハムシの雌も見つからなかった)
気を取り直して、場所移動。
以前探索した際、この辺りのエゾゴマナにはアイヌヨモギハムシは見られず、代わりにオオヨモギハムシを見かけた場所であったが、今回なかなかクリソリーナが現れない。
エゾゴマナは至る所で生えているのに・・・
どうやら一日中あまり日の当たらない場所や地面が泥状の場所(水はけの悪い場所)に生えるエゾゴマナは、クリソリーナが好まないらしく、ほとんどがそのような場所であった。
そこで、なるべく日なたに生えているエゾゴマナの群生を探すことにすると・・・。
オオヨモギハムシ♂ Chrysolina angusticollis
早速、本命ではないが、現れた。
更にこの子がいたエゾゴマナの下側の茎に、青色のクリソリーナを発見。
オオヨモギハムシとは少々異なる雰囲気の個体。
これはもしやと、持ち帰り、詳しく確認してみると・・・
ワタナベハムシ♀ Chrysolina watanabei
地域変異型である青藍色の雌。産地は異なるがやっと雌を得られた。
もう時期的に遅いのか、ボロボロの個体で、後脚は欠損し、一部凹みもあったが、光沢は強く、オオヨモギハムシの青より深みがあって美しい。
結局、この時点でタイムアップとなり、見つけられたのはこの個体のみ。
生息場所は特定したが、完品を得るには来シーズンに再挑戦するしかないだろう。
なんでこんな遅い時期から探し始めたのだろうか。ちょっとだけ悔やまれる。
銅色のアイヌヨモギハムシが生息する場所にいるワタナベハムシの体色は同じ銅色、青藍色のオオヨモギハムシと混生する個体は同じ青藍色。
あまりにも生息範囲が狭いが、これも収斂していると言っていいのだろうか。それとも擬態か?
擬態なら、個体数から似せた側はワタナベハムシの方だと思われるが、モデル(オオヨモギハムシ)より高品質(?)に真似したことになる。
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青は藍より出でて藍より青し
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